《問42》贈与税の課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、贈与者および受贈者はいずれも個人であるものとする。
- 子Aさんが、父Bさんが300万円、母Cさんが200万円、子Aさんが100万円の保険料をそれぞれ負担した生命保険契約の死亡保険金3,000万円を父Bさんの死亡に伴って受け取った場合、子Aさんが贈与により取得したものとみなされる金額は、1,000万円である。
- 子Dさんが、父Eさんから土地を著しく低い価額の対価で譲り受けた場合、子Dさんが資力を喪失して債務を弁済することが困難な状態にあるときを除き、当該土地の相続税評価額と支払った対価の額との差額に相当する金額を父Eさんから贈与により取得したものとみなされる。
- 3人が共有している財産について、そのうちの1人がその持分を放棄した場合、その持分は他の共有者に帰属し、放棄した者に係る持分を他の共有者が各自の持分に応じて贈与により取得したものとみなされる。
- 同族会社に対して無償で財産の提供があり、同族会社の株式の価額が増加した場合、当該同族会社の株主は、その増加した部分に相当する金額を当該財産を提供した者から贈与により取得したものとみなされる。
[正解] 2 (不適切)
- 子Aさんが、父Bさんが300万円、母Cさんが200万円、子Aさんが100万円の保険料をそれぞれ負担した生命保険契約の死亡保険金3,000万円を父Bさんの死亡に伴って受け取った場合、子Aさんが贈与により取得したものとみなされる金額は、1,000万円である。
- 子Dさんが、父Eさんから土地を著しく低い価額の対価で譲り受けた場合、子Dさんが資力を喪失して債務を弁済することが困難な状態にあるときを除き、当該土地の相続税評価額と支払った対価の額との差額に相当する金額を父Eさんから贈与により取得したものとみなされる。
- 3人が共有している財産について、そのうちの1人がその持分を放棄した場合、その持分は他の共有者に帰属し、放棄した者に係る持分を他の共有者が各自の持分に応じて贈与により取得したものとみなされる。
- 同族会社に対して無償で財産の提供があり、同族会社の株式の価額が増加した場合、当該同族会社の株主は、その増加した部分に相当する金額を当該財産を提供した者から贈与により取得したものとみなされる。
[解説]
父Eさんから子Dさんに土地を譲渡した場合、売主である父Eさんは所得税、買主である子Dさんは贈与税の対象となる。子Dさんは父Eさんから土地を贈与により取得したものとみなされるが、贈与税の課税財産は財産の時価と支払った対価との差額に相当する金額となる。
[解説]
民法第255条(持分の放棄及び共有者の死亡)で、「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する」と定められている。持分の放棄は贈与(贈与は口頭であっても合意が必要)とは異なり、単独で可能となる(登記は共同申請)。持分放棄は贈与と異なる点はあるが、税法上は贈与税の課税対象となる。
[解説]
同族会社の株式又は出資の価額が増加したときにおいては、その株主又は社員が当該株式又は出資の価額のうち増加した部分に相当する金額を、それぞれ次に掲げる者から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。
(1) 会社に対し無償で財産の提供があった場合・・・当該財産を提供した者
(2) 時価より著しく低い価額で現物出資があった場合・・・当該現物出資をした者
(3) 対価を受けないで会社の債務の免除、引受け又は弁済があった場合・・・当該債務の免除、引受け又は弁済をした者
(4) 会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合・・・当該財産の譲渡をした者
[解説]
この契約の場合、①子Aさんが保険料負担者で保険金受取人でもある部分と②父Bさんが保険料負担者で子Aさんが保険金受取人である部分、③母Cさんが保険料負担者で子Aさんが保険金受取人である部分があり、①は所得税として課税、②は相続税として課税、③は贈与税として課税の対象となる。保険料負担者が複数いる場合の評価額は次の算式で求める。
(算式)
\begin{align*}
受け取った保険金額✕\frac{各人が負担した保険料の額}{保険料の総額}\\
\end{align*}
① 3,000万円✕100万円/600万円=500万円・・・所得税
② 3,000万円✕200万円/600万円=1,000万円・・・贈与税
③ 3,000万円✕300万円/600万円=1,500万円・・・相続税
よって、贈与税部分は1,000万円である。