1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問50】自己株式の取得・保有・処分

《問50》すべての株式に譲渡制限のある会社(公開会社でない会社)における自己株式の取得、保有、処分に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 会社が特定の株主から自己株式を有償で取得する場合、株主総会の特別決議が必要となるが、株主総会は、定時株主総会ではなく臨時株主総会でもさしつかえない。
  2. 会社が特定の株主から自己株式を有償で取得する場合、取得の対価として交付する金銭等の帳簿価額の総額は、取得の効力発生日における分配可能額の範囲内でなければならない。
  3. 会社が合併や会社分割などの組織再編を行う場合、所定の手続により、新たな株式の発行に代えて、既に保有する自己株式を交付することもできる。
  4. 会社が自己株式を消却した場合、発行済株式総数および資本金の額が減少することになるため、発行済株式総数および資本金の額の変更登記を行う必要がある。


[正解]  (不適切)

  1. 会社が特定の株主から自己株式を有償で取得する場合、株主総会の特別決議が必要となるが、株主総会は、定時株主総会ではなく臨時株主総会でもさしつかえない。
  2. [解説]
    これまで自己株式を取得する場合には、定時株主総会で決議しなければならなかったが、会社法の施行により、臨時株主総会で決議が行えるようになった。

  3. 会社が特定の株主から自己株式を有償で取得する場合、取得の対価として交付する金銭等の帳簿価額の総額は、取得の効力発生日における分配可能額の範囲内でなければならない。
  4. [解説]
    株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く)の帳簿価額の総額は、その効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない(会社法第461条)。

  5. 会社が合併や会社分割などの組織再編を行う場合、所定の手続により、新たな株式の発行に代えて、既に保有する自己株式を交付することもできる。
  6. [解説]
    会社が吸収分割をする場合において、吸収分割承継会社が株式会社であるときは、吸収分割契約において、次に掲げる事項を定めなければならない(会社法758条1号)。吸収分割により吸収分割株式会社又は吸収分割承継株式会社の株式を吸収分割承継株式会社に承継させるときは、当該株式に関する事項(会社法758条3号)。

  7. 会社が自己株式を消却した場合、発行済株式総数および資本金の額が減少することになるため、発行済株式総数および資本金の額の変更登記を行う必要がある
  8. [解説]
    資本金の額と発行済株式総数は連動していないため、自己株式を消却したとしても資本金の額の変更登記を申請する必要はない。会社が自己株式を消却した場合には、効力発生日から2週間以内に変更登記申請を行わなければならない。


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問49】特定の評価会社

《問49》取引相場のない株式の相続税評価における特定の評価会社に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める土地等の価額の合計額の割合が90%以上である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。
  2. 課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める株式等の価額の合計額の割合が50%以上である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。
  3. 課税時期において開業後3年未満である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。
  4. 休業中であることにより特定の評価会社に該当する評価会社の株式の価額は、同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合であっても、配当還元方式により算出した価額によって評価することはできない。


[正解]  (不適切)

  1. 課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める土地等の価額の合計額の割合が90%以上である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず特定の評価会社に該当する。
  2. [解説]
    大会社(一定の小会社含む):土地保有割合が70%以上である会社
    中会社(一定の小会社含む):土地保有割合が90%以上である会社
    土地保有割合の基準は、会社の規模等によって異なる。

  3. 課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める株式等の価額の合計額の割合が50%以上である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。
  4. [解説]
    課税時期において評価会社の有する各資産を評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額の割合50%以上である評価会社は特定の評価会社に該当する。

  5. 課税時期において開業後3年未満である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。
  6. [解説]
    課税時期において開業後3年未満である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。

  7. 休業中であることにより特定の評価会社に該当する評価会社の株式の価額は、同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合であっても、配当還元方式により算出した価額によって評価することはできない。
  8. [解説]
    開業前又は休業中の会社の株式の価額は、1株当たりの純資産価額によって評価する。よって、配当還元方式により算出した価額によって評価することはできない。


[要点のまとめ]

<特定の評価会社>
(1) 株式保有特定会社
(2) 土地保有特定会社
(3) 開業前又は休業中の会社
(4) 開業後3年未満の会社
(5) 比準要素数0の会社
(6) 比準要素数1の会社
(7) 清算中の会社


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問48】中心的な同族株主

《問48》非上場会社であるX株式会社(以下、「X社」という)の同族関係者であるA~Gの所有株式数等は、下記のとおりである。E、F、Gがそれぞれ中心的な同族株主に該当するか否かの判定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、発行済株式総数は100株であり、X社株式は議決権を有する普通株式である。

株主 株主Aとの関係 X社における地位 所有株式数
本人 代表取締役社長 50株
なし 3株
代表取締役会長 16株
長男 取締役営業部長 13株
なし 3株
叔父(Cの弟) 監査役 10株
甥(Eの長男) 経理部長 5株
  1. E、F、Gは、いずれも中心的な同族株主に該当する。
  2. Fは中心的な同族株主に該当し、EおよびGは中心的な同族株主に該当しない。
  3. EおよびFは中心的な同族株主に該当し、Gは中心的な同族株主に該当しない。
  4. EおよびGは中心的な同族株主に該当し、Fは中心的な同族株主に該当しない。


[正解]  (適切)

[解説]

「中心的な同族株主」とは、課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち、これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である会社を含む。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である場合における、その株主である。
本問では、
「同族株主の1人(EorForG)並びにその株主(EorForG)の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族の有する議決権の合計数がその会社の>議決権総数の25%以上であれば、その株主(EorForG)は中心的な同族株主となる。
(1) Eについて
E(3株)
Eの直系血族:父C(16株)、甥(5株)
Eの兄弟姉妹:本人A(50株)
合計74株で、議決権総数の74%となる。
議決権総数の25%以上なので、Eは中心的な同族株主となる。
(2) Fについて
F(10株)
Fの兄弟姉妹:父C(16株)
合計26株で、議決権総数の26%となる。
議決権総数の25%以上なので、Fは中心的な同族株主となる。
(3) Gについて
G(5株)
Gの直系血族:弟E(3株)、父C(16株)
合計24株で、議決権総数の24%となる。
議決権総数の25%未満なので、Gは中心的な同族株主に該当しない

1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問47】相続税の申告

《問47》次の各ケースのうち、相続人が相続税の申告をしなければならないものはいくつあるか。なお、各ケースにおいて、被相続人は平成30年中に死亡し、相続人は配偶者と子の合計2人であるものとする。また、相続の放棄をした者はおらず、記載のない事項については考慮しないものとする。

(a) 相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、平成28年中に子が被相続人から現金1,000万円の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けていた場合
(b) 相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、そのほかに、契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約により配偶者が受け取った死亡保険金2,000万円がある場合
(c) 相続開始時点の被相続人の財産は5,000万円(相続税評価額)であるが、配偶者がすべての財産を相続により取得し、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることにより納付すべき相続税額が算出されない場合

  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)


[正解]  (適切)

  1. (a) 相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、平成28年中に子が被相続人から現金1,000万円の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けていた場合
  2. [解説]
    現金1,000万円の贈与について相続時精算課税制度の適用を受けており、2,500万円以下なので全額贈与税はかからず、相続税の課税対象となる。相続税の計算の流れにおいて、各人の課税価格を計算する際に、相続や遺贈などで習得した財産に相続開始前3年以内の贈与財産や相続時精算課税を選択した贈与財産を加えた金額が相続財産となる。
    ・相続財産:3,000万円+1,000万円=4,000万円
    相続人は配偶者と子の2人だけなので、遺産に係る基礎控除額は、3,000万円+600万円✕2人=4,200万円
    ・相続税の総額
    4,000万円-4,000万円=0
    相続税はかからないため、申告は不要である。

  3. (b) 相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、そのほかに、契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約により配偶者が受け取った死亡保険金2,000万円がある場合
  4. [解説]
    相続時精算課税制度を選択した贈与財産と同じく、みなし相続財産である死亡保険金も相続や遺贈で取得した財産に加算する。ただ、生命保険金の場合、非課税枠があるため、非課税額を控除してから加算する。
    ・生命保険金の非課税限度額「500万円✕法定相続人の数」
     500万円✕2人=1,000万円
    ・相続財産に加算する生命保険金の額
     2,000万円-1,000万円=1,000万円
    ・相続財産:3,000万円+1,000万円=4,000万円
    ・相続税の総額
    4,000万円-4,000万円=0
    相続税はかからないため、申告は不要である。

  5. (c) 相続開始時点の被相続人の財産は5,000万円(相続税評価額)であるが、配偶者がすべての財産を相続により取得し、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることにより納付すべき相続税額が算出されない場合
  6. [解説]
    「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受ける場合には、適用後の相続税額が0(ゼロ)となっても、相続税の申告が必要である。


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問46】相続税の税額控除等

《問46》相続税の税額控除等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 被相続人の配偶者が「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けた場合、原則として、配偶者が相続または遺贈により取得した財産の額が1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額とのいずれか多い金額までであるときは、配偶者が納付すべき相続税額は算出されない。
  2. 相続税額の計算上、未成年者控除の適用を受ける未成年者が相続税額の2割加算の対象となる場合、未成年者控除額は、その者の相続税額にその相続税額の100分の20に相当する金額を加算した後の金額から控除する。
  3. 障害者控除額は、相続人が特別障害者に該当する場合、20万円にその者が85歳に達するまでの年数を乗じて算出され、85歳に達するまでの年数に1年未満の端数があるときは、これを1年として計算する。
  4. 父の相続により財産を取得して相続税を納付した子が、父の相続開始後10年以内に開始した母の相続により財産を取得して相続税を納付する場合、相次相続控除の適用を受けることにより、相続税額の計算上、父の相続時に子が納付した相続税額の一部を控除することができる。


[正解]  (不適切)

  1. 被相続人の配偶者が「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けた場合、原則として、配偶者が相続または遺贈により取得した財産の額が1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額とのいずれか多い金額までであるときは、配偶者が納付すべき相続税額は算出されない。
  2. [解説]
    「配偶者に対する相続税額の軽減」は、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した財産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度である。
    (1) 1億6千万円
    (2) 配偶者の法定相続分相当額
    これらを超えなければ配偶者が納付すべき相続税額は算出されない。

  3. 相続税額の計算上、未成年者控除の適用を受ける未成年者が相続税額の2割加算の対象となる場合、未成年者控除額は、その者の相続税額にその相続税額の100分の20に相当する金額を加算した後の金額から控除する。
  4. [解説]

    各種の税額控除等は次の順序で計算する。

    各相続人等の税額 + 相続税額の2割加算
    - 暦年課税分の贈与控除額 - 配偶者の税額軽減
    - 未成年者控除 - 相次相続控除 - 障害者控除
    - 外国税額控除 = 各相続人等の税額

    よって、未成年者控除額は、相続税額の2割加算をした後の金額から控除することになる。

  5. 障害者控除額は、相続人が特別障害者に該当する場合、20万円にその者が85歳に達するまでの年数を乗じて算出され、85歳に達するまでの年数に1年未満の端数があるときは、これを1年として計算する。
  6. [解説]
    障害者控除額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算する)につき10万円で計算した額である。特別障害者の場合は1年につき20万円となる。

  7. 父の相続により財産を取得して相続税を納付した子が、父の相続開始後10年以内に開始した母の相続により財産を取得して相続税を納付する場合、相次相続控除の適用を受けることにより、相続税額の計算上、父の相続時に子が納付した相続税額の一部を控除することができる。
  8. [解説]
    今回の相続開始前10年以内に被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得し相続税が課されていた場合には、その被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人の相続税額から、一定の金額を控除することを相次相続控除という。
    A:祖父から父への相続で、父が相続税を負担
    B:父から子への相続で、相続人が相続財産を取得
    Aで父が負担した相続税額の一部を、Bの相続時に控除する。
    ・相次相続控除は次のすべての要件を満たす人が適用できる。
    (1) 被相続人の相続人であること
     この制度の適用対象者は、相続人に限定されており、相続の放棄をした人及び相続権を失った人がたとえ遺贈により財産を取得しても、この制度は適用されない。
    (2) 前回の相続(その相続の開始前10年以内に開始した相続)により被相続人が財産を取得していること
    (3) 前回の相続(その相続の開始前10年以内に開始した相続)により取得した財産について、被相続人に対し相続税が課税されたこと
    つまり、前回の相続で、被相続人(本肢では父)が財産を取得し、相続税が課税されていなければならない。「祖父⇒父⇒子」で適用できる制度であり、本肢のように「父⇒子、母⇒子」では適用できない。


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問45】遺産に係る基礎控除額

《問45》平成30年10月に死亡したAさんの下記の親族関係図に基づき、Aさんの相続に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。なお、Aさんの父母および長女はAさんの相続開始前に既に死亡している。

(a) 仮に、長男Cさんおよび二男Dさんが相続の放棄をした場合、相続税額の計算上、遺産に係る基礎控除額は4,800万円となる。
(b) 仮に、長男CさんがAさんの意向により廃除されて相続権を失っていた場合、相続税額の計算上、遺産に係る基礎控除額は5,400万円となる。
(c) 仮に、孫Eさんおよび孫GさんがAさんの普通養子(特別養子縁組以外の縁組による養子)であった場合、相続税額の計算上、遺産に係る基礎控除額は6,000万円となる。

  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)


[正解]  (適切)

  1. (a) 仮に、長男Cさんおよび二男Dさんが相続の放棄をした場合、相続税額の計算上、遺産に係る基礎控除額は4,800万円となる。
  2. [解説]
    遺産に係る基礎控除額は、「3,000万円+600万円✕法定相続人の数」で求める。
    長男Cさんおよび二男Dさんが相続の放棄をした場合の法定相続人は、配偶者、長男Cさん、二男Dさん、孫Gさん、孫Hさんとなる。相続放棄をすれば代襲相続は発生しないが、法定相続人の数に算入する場合には、相続放棄がなかったもとのして扱われる。また、すでに死亡している長女の孫二人は代襲相続人となる。
    よって、遺産に係る基礎控除額は、「3,000万円+600万円✕5=6,000万円」となる。

  3. (b) 仮に、長男CさんがAさんの意向により廃除されて相続権を失っていた場合、相続税額の計算上、遺産に係る基礎控除額は5,400万円となる。
  4. [解説]
    廃除や欠格の場合、放棄とは違い、代襲相続が発生するが、廃除や欠格に該当した本人は法定相続人の対象外となる。長男Cさんが廃除されて相続権を失っていた場合、長男Cさんには孫Eさん、孫Fさんが代襲相続人となる。
    よって、法定相続人の数は、配偶者、孫Eさん、孫Fさん、二男Dさん、孫Gさん、孫Hさんの6人となる。
    遺産に係る基礎控除額は、「3,000万円+600万円✕6=6,600万円」である。

  5. (c) 仮に、孫Eさんおよび孫GさんがAさんの普通養子(特別養子縁組以外の縁組による養子)であった場合、相続税額の計算上、遺産に係る基礎控除額は6,000万円となる。
  6. [解説]
    孫Eさんおよび孫GさんがAさんの普通養子(特別養子縁組以外の縁組による養子)であった場合、法定相続人の数に算入する養子がポイントとなる。実子がいない場合は養子は2人まで、実子がいる場合は養子は1人まで算入する。
    よって、法定相続人の数は、配偶者、孫Eさん(孫Fさん)、長男Cさん、二男Dさん、孫Gさん、孫Hさんの6人となる。
    遺産に係る基礎控除額は、「3,000万円+600万円✕6=6,600万円」である。


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問44】遺言

《問44》民法における遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 公正証書遺言を作成する場合、証人2人以上の立会いが必要であるが、遺言者の推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族は、この証人になることはできない。
  2. 遺言者が、公正証書遺言と自筆証書遺言を作成しており、それぞれの内容が異なっている場合、その異なっている部分について作成日付の新しい遺言の内容が効力を有する。
  3. 公正証書遺言の遺言者が、公正証書遺言の正本を故意に破棄したときは、その破棄した部分について遺言を撤回したものとみなされる。
  4. 秘密証書遺言の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。


[正解]  (不適切)

  1. 公正証書遺言を作成する場合、証人2人以上の立会いが必要であるが、遺言者の推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族は、この証人になることはできない。
  2. [解説]
    未成年者、推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人は公正証書遺言の証人や立会人になることができない。

  3. 遺言者が、公正証書遺言と自筆証書遺言を作成しており、それぞれの内容が異なっている場合、その異なっている部分について作成日付の新しい遺言の内容が効力を有する。
  4. [解説]
    複数の遺言が存在する場合、日付の新しい遺言が有効となり、部分的に有効・無効の判断をするわけではない。また、公正証書遺言は公証役場で法律の専門家の協力のもと遺言を作成するが、遺言の種類によって優越がつくことはない。

  5. 公正証書遺言の遺言者が、公正証書遺言の正本を故意に破棄したときは、その破棄した部分について遺言を撤回したものとみなされる。
  6. [解説]
    公正証書遺言を作成すると、原本が公証役場に保管され、正本と謄本が渡される。遺言の撤回では、「遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする」と定められているが、公正証書遺言の場合、原本は保管されているため、正本を破棄しても撤回とみなされない。公正証書遺言を撤回する場合には、遺言書を作成したときと同じように、証人2名の前で、公証人に対して、公正証書を無かったことにしたい旨を述べ、公正証書に署名押印し作成しなければならない。

  7. 秘密証書遺言の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。
  8. [解説]
    秘密証書遺言の保管者や遺言者、これを発見した者は、これを家庭裁判所に提出し。その検認を請求しなければならない。検認が必要となるのは自筆証書遺言も同じである。


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問43】住宅取得等資金の贈与の非課税の特例

《問43》「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

  1. 本特例の対象となる住宅取得等資金には、不動産仲介手数料や不動産取得税、登録免許税などの住宅用家屋の取得等に要した費用に充てるための金銭は含まれるが、住宅ローンの返済に充てるための金銭は含まれない。
  2. 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年分において、給与所得600万円と「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」適用後の譲渡所得300万円を有する場合、本特例の適用を受けることができる。
  3. 平成30年中に住宅用家屋の新築等に係る契約を締結した場合において、本特例による住宅資金非課税限度額は、受贈者ごとに、住宅取得等資金を充てて新築等をした住宅用家屋が一定の省エネ等住宅であるときは1,500万円、省エネ等住宅以外であるときは1,000万円である。
  4. 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与税の申告書を提出する前に死亡した場合、その受贈者の相続人は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に贈与税の申告書を提出することにより、本特例の適用を受けることができる。


[正解]  (適切)

  1. 本特例の対象となる住宅取得等資金には、不動産仲介手数料や不動産取得税、登録免許税などの住宅用家屋の取得等に要した費用に充てるための金銭は含まれるが、住宅ローンの返済に充てるための金銭は含まれない。
  2. [解説]
    本特例の対象となる住宅取得等資金について、不動産仲介手数料や不動産取得税、登録免許税などの住宅用家屋の取得等に要した費用に充てるための金銭は住宅取得に要した費用だが、新築等の対価や増改築等の費用に充てられたとはいえないため、住宅取得等資金には含まれない。また、住宅取得等資金は、住宅の贈与には適応できず、すでに住宅を取得し、その住宅ローンの返済に充てるための金銭には適用できない。

  3. 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年分において、給与所得600万円と「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」適用後の譲渡所得300万円を有する場合、本特例の適用を受けることができる。
  4. [解説]
    本特例に、「贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること」という要件がある。この合計所得金額の金額については以下のとおりである。
    1.次の(1)と(2)の合計額に、退職所得金額、山林所得金額を加算した金額である。
    ※申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(長・短期譲渡所得については特別控除前の金額)の合計額を加算した金額である。
    (1) 事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額
    (2) 総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額
    ただし、「総所得金額等」で掲げた繰越控除を受けている場合は、その適用前の金額をいう。
    本肢の場合、3,000万円特別控除前の金額となるため、合計所得金額3,900万円となる。

  5. 平成30年中に住宅用家屋の新築等に係る契約を締結した場合において、本特例による住宅資金非課税限度額は、受贈者ごとに、住宅取得等資金を充てて新築等をした住宅用家屋が一定の省エネ等住宅であるときは1,500万円、省エネ等住宅以外であるときは1,000万円である。
  6. [解説]
    平成30年中に契約を締結した場合の住宅資金非課税限度額は、一定の省エネ等住宅であるときが1,200万円で、省エネ等住宅以外が700万円である。

  7. 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与税の申告書を提出する前に死亡した場合、その受贈者の相続人は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に贈与税の申告書を提出することにより、本特例の適用を受けることができる。
  8. [解説]
    贈与税の申告書を提出する前に贈与者が亡くなった場合は、受贈者は贈与税の申告期限である3月15日までに贈与税の申告書を提出すれば、住宅取得資金の非課税制度の適用を受けることができる。一方、本肢のように、贈与税の申告書を提出する前に受贈者が亡くなった場合、その受贈者の相続人が権利を継承するため、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に贈与税の申告書を提出することにより、本特例の適用を受けることができる。

[要点のまとめ]

<直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例>
平成27年1月1日から平成33年(2021年)12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(新築等)の対価に充てるための住宅取得等資金を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となる。
1.受贈者の要件
(1) 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
※配偶者の父母(又は祖父母)は直系尊属には該当しないが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当する。
(2) 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。
(3) 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
(4) 平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと。
(5) 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。
(6) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
※受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできない。
(7) 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること(受贈者が一時居住者であり、かつ、贈与者が一時居住贈与者又は非居住贈与者である場合を除く)。
 なお、贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない人であっても、一定の場合には、この特例の適用を受けることができる。
(8) 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
2.家屋等の要件
(1) 新築又は取得の場合の要件
イ 新築又は取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
ロ 取得した住宅が次のいずれかに該当すること。
1) 建築後使用されたことのない住宅用の家屋
2) 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
※耐火建築物とは、登記簿に記録された家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造などのものをいいう。
3) 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの
4) 上記2)及び3)のいずれにも該当しない建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その住宅用の家屋の取得の日までに同日以後その住宅用の家屋の耐震改修を行うことにつき、一定の申請書等に基づいて都道府県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までにその耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明書等により証明がされたもの
(2) 増改築等の場合の要件
イ 増改築等後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
ロ 増改築等に係る工事が、自己が所有し、かつ居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること。
ハ 増改築等に係る工事に要した費用の額が100万円以上であること。
 また、増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に要したものであること。
3.非課税限度額

イ 下記ロ以外の場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~平成27年12月31日 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日
~令和2年3月31日
1,200万円 700万円
令和2年4月1日
~令和3年3月31日
1,000万円 500万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 800万円 300万円

ロ 住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成31年1月1日
~令和2年3月31日
3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日
~令和3年3月31日
1,500万円 1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 1,200万円 700万円


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問42】贈与税の課税財産

《問42》贈与税の課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、贈与者および受贈者はいずれも個人であるものとする。

  1. 子Aさんが、父Bさんが300万円、母Cさんが200万円、子Aさんが100万円の保険料をそれぞれ負担した生命保険契約の死亡保険金3,000万円を父Bさんの死亡に伴って受け取った場合、子Aさんが贈与により取得したものとみなされる金額は、1,000万円である。
  2. 子Dさんが、父Eさんから土地を著しく低い価額の対価で譲り受けた場合、子Dさんが資力を喪失して債務を弁済することが困難な状態にあるときを除き、当該土地の相続税評価額と支払った対価の額との差額に相当する金額を父Eさんから贈与により取得したものとみなされる。
  3. 3人が共有している財産について、そのうちの1人がその持分を放棄した場合、その持分は他の共有者に帰属し、放棄した者に係る持分を他の共有者が各自の持分に応じて贈与により取得したものとみなされる。
  4. 同族会社に対して無償で財産の提供があり、同族会社の株式の価額が増加した場合、当該同族会社の株主は、その増加した部分に相当する金額を当該財産を提供した者から贈与により取得したものとみなされる。


[正解]  (不適切)

  1. 子Aさんが、父Bさんが300万円、母Cさんが200万円、子Aさんが100万円の保険料をそれぞれ負担した生命保険契約の死亡保険金3,000万円を父Bさんの死亡に伴って受け取った場合、子Aさんが贈与により取得したものとみなされる金額は、1,000万円である。
  2. [解説]

    この契約の場合、①子Aさんが保険料負担者で保険金受取人でもある部分と②父Bさんが保険料負担者で子Aさんが保険金受取人である部分、③母Cさんが保険料負担者で子Aさんが保険金受取人である部分があり、①は所得税として課税、②は相続税として課税、③は贈与税として課税の対象となる。保険料負担者が複数いる場合の評価額は次の算式で求める。

    (算式)
    \begin{align*}
    受け取った保険金額✕\frac{各人が負担した保険料の額}{保険料の総額}\\
    \end{align*}

    ① 3,000万円✕100万円/600万円=500万円・・・所得税
    ② 3,000万円✕200万円/600万円=1,000万円・・・贈与税
    ③ 3,000万円✕300万円/600万円=1,500万円・・・相続税
    よって、贈与税部分は1,000万円である。

  3. 子Dさんが、父Eさんから土地を著しく低い価額の対価で譲り受けた場合、子Dさんが資力を喪失して債務を弁済することが困難な状態にあるときを除き、当該土地の相続税評価額支払った対価の額との差額に相当する金額を父Eさんから贈与により取得したものとみなされる。
  4. [解説]
    父Eさんから子Dさんに土地を譲渡した場合、売主である父Eさんは所得税、買主である子Dさんは贈与税の対象となる。子Dさんは父Eさんから土地を贈与により取得したものとみなされるが、贈与税の課税財産は財産の時価支払った対価との差額に相当する金額となる。

  5. 3人が共有している財産について、そのうちの1人がその持分を放棄した場合、その持分は他の共有者に帰属し、放棄した者に係る持分を他の共有者が各自の持分に応じて贈与により取得したものとみなされる。
  6. [解説]
    民法第255条(持分の放棄及び共有者の死亡)で、「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する」と定められている。持分の放棄は贈与(贈与は口頭であっても合意が必要)とは異なり、単独で可能となる(登記は共同申請)。持分放棄は贈与と異なる点はあるが、税法上は贈与税の課税対象となる。

  7. 同族会社に対して無償で財産の提供があり、同族会社の株式の価額が増加した場合、当該同族会社の株主は、その増加した部分に相当する金額を当該財産を提供した者から贈与により取得したものとみなされる
  8. [解説]
    同族会社の株式又は出資の価額が増加したときにおいては、その株主又は社員が当該株式又は出資の価額のうち増加した部分に相当する金額を、それぞれ次に掲げる者から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。
    (1) 会社に対し無償で財産の提供があった場合・・・当該財産を提供した者
    (2) 時価より著しく低い価額で現物出資があった場合・・・当該現物出資をした者
    (3) 対価を受けないで会社の債務の免除、引受け又は弁済があった場合・・・当該債務の免除、引受け又は弁済をした者
    (4) 会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合・・・当該財産の譲渡をした者


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問41】DSCR(借入金償還余裕率)

《問41》下記の〈条件〉に基づく不動産投資におけるDSCR(借入金償還余裕率)として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、収入は年間の空室率を20%として計算し、記載のない事項は考慮せず、計算結果は小数点以下第3位を四捨五入すること。

〈条件〉

投資物件 :賃貸アパート(全12戸)
投資額  :2億円(自己資金3,000万円、借入金額1億7,000万円)
賃貸収入 :月額家賃15万円(1戸当たり)
運営費用 :年間500万円(借入金の支払利息は含まれていない)
借入金返済額:年間970万円(元利均等返済、返済期間25年)
※1年目の内訳 元金部分470万円 利息部分500万円

  1. 1.27
  2. 1.71
  3. 1.78
  4. 2.46


[正解]  (適切)

[解説]

DSCR(借入金償還余裕率)とは、借入金返済の安全性(借入金返済能力)を測るための指標であり、次の算式で求める。

(算式)
借入償還余裕率(DSCR)=営業純利益(NOI)÷元利金返済額

・営業純利益(NOI)
 収入:15万円✕12ヶ月✕12戸✕80%=1,728万円
 費用:500万円(運営費用)=500万円
 1,728万円-500万円=1,228万円
・借入償還余裕率(DSCR)=1,228万円÷970万円=1.26597・・・
 よって、1.27
※営業純利益が970万円なら、DSCR(借入金償還余裕率)は1となり、毎年の営業純利益と返済額が同額となる。このように元利金返済額で割ることで、1以上であれば返済額以上の利益を得られることになる。この計算を理解しておけば、営業純利益で元金や利息の額を計算に入れないことが分かるだろう。