1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問5】確定給付企業年金

《問5》確定給付企業年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 確定給付企業年金の加入者は、原則として、実施事業所に使用される厚生年金保険の被保険者であるが、特定の者に不当に差別的な取扱いでなければ、規約において、職種、勤続期間や年齢等により、加入者となることについて一定の資格を定めることができる。
  2. 確定給付企業年金の掛金は、規約の定めと加入者本人の同意があれば、加入者本人がその一部を負担することができ、加入者本人が負担した掛金は生命保険料控除の対象となる。
  3. 確定給付企業年金では、規約において、20年を超える加入者期間を老齢給付金の給付を受けるための要件として定めることはできない。
  4. 確定給付企業年金の老齢給付金は、60歳以上65歳以下の規約で定める年齢に達したとき、または40歳以上65歳未満の規約で定める年齢に達した日以後に退職したときに支給が開始される。


[正解]  (不適切)

  1. 確定給付企業年金の加入者は、原則として、実施事業所に使用される厚生年金保険の被保険者であるが、特定の者に不当に差別的な取扱いでなければ、規約において、職種、勤続期間や年齢等により、加入者となることについて一定の資格を定めることができる
  2. [解説]
    確定給付企業年金の加入対象者として、特定の者に不当な差別がないこと、加入者が資格喪失を任意に選択できるものではないことの要件を満たせば、一定の資格を定め、加入者としないとすることができる。一定の資格には、職種、勤続期間・年齢、希望者、休職期間中ではない者がある。なお、加入対象者でない者に、他の確定給付企業年金、厚生年金基金、確定拠出年金、退職手当制度など、確定給付企業年金に代わる措置を講じなければならない。

  3. 確定給付企業年金の掛金は、規約の定めと加入者本人の同意があれば、加入者本人がその一部を負担することができ、加入者本人が負担した掛金は生命保険料控除の対象となる。
  4. [解説]
    確定給付企業年金において、加入者本人が拠出することもでき、その金額は生命保険料控除の対象となる。なお、他に生命保険料控除がある場合は合算して年間4万円が上限となる。

  5. 確定給付企業年金では、規約において、20年を超える加入者期間を老齢給付金の給付を受けるための要件として定めることはできない
  6. [解説]
    老齢給付金の受給資格期間に関する要件として、20年を超える加入者期間を要件として定め定めてはならないとしている。

  7. 確定給付企業年金の老齢給付金は、60歳以上65歳以下の規約で定める年齢に達したとき、または40歳以上65歳未満の規約で定める年齢に達した日以後に退職したときに支給が開始される。
  8. [解説]
    支給開始年齢は、原則として、60歳から65歳の範囲で年金規約に定めるものとする。政令で定める年齢(50歳)以上60歳未満の規約で定める年齢に達した日以後に退職したとき(規約において当該状態に至ったときに老齢給付金を支給する旨が定められている場合に限る。)も支給される。

1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問4】老齢給付に係る裁定請求等

《問4》公的年金制度の老齢給付に係る裁定請求等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 特別支給の老齢厚生年金は、支給開始年齢に到達する4カ月前に送付される年金請求書によって、支給開始年齢に到達する3カ月前から請求手続を行うことができる。
  2. 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けるために年金請求書および所定の支給繰上げ請求書を提出した場合、受給権は請求書が受理された日に発生し、受給権発生後に当該請求を取り消したり、変更したりすることはできない。
  3. 特別支給の老齢厚生年金を受給している者が65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給するときは、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給を希望する場合を除き、年金請求書の提出は不要である。
  4. 65歳到達時に受給権が発生した老齢基礎年金および老齢厚生年金の支給を66歳以後に繰り下げる場合、65歳到達月の末日までに所定の支給繰下げ申出書を提出する必要がある。


[正解]  (適切)

  1. 特別支給の老齢厚生年金は、支給開始年齢に到達する4カ月前に送付される年金請求書によって、支給開始年齢に到達する3カ月前から請求手続を行うことができる。
  2. [解説]
    支給開始年齢に達し、特別支給の老齢厚生年金を受け取る権利が発生する人に対し、支給開始年齢に到達する3か月前に、「年金請求書(事前送付用)」及び年金の請求手続きの案内が機構から送付される。受給権発生日は支給開始年齢に到達した日(誕生日の前日)となり、請求書の提出は支給開始年齢になってからとなる。

  3. 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けるために年金請求書および所定の支給繰上げ請求書を提出した場合、受給権は請求書が受理された日に発生し、受給権発生後に当該請求を取り消したり、変更したりすることはできない
  4. [解説]
    受給権は請求書が受理された日に発生し、年金は受給権が発生した月の翌月分から支給される。受給権発生後に繰上げ請求を取り消したり、変更したりすることはできない

  5. 特別支給の老齢厚生年金を受給している者が65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給するときは、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給を希望する場合を除き、年金請求書の提出は不要である。
  6. [解説]
    60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金を受けている人が65歳になったときは、特別支給の老齢厚生年金に代わり、新たに老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けることになる。この場合、「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」の提出が必要である。なお、65歳になる誕生月の初め頃(1日生まれの方は前月の初め頃)に、日本年金機構本部から「年金請求書」が送られてくるので、誕生月の末日(1日生まれの方は前月末日)までに届書を提出しなければならない。

  7. 65歳到達時に受給権が発生した老齢基礎年金および老齢厚生年金の支給を66歳以後に繰り下げる場合、65歳到達月の末日までに所定の支給繰下げ申出書を提出する必要がある
  8. [解説]
    繰下げ支給は、65歳で請求を行わず、66歳以降70歳までの希望する時期に請求することで繰上げ受給できる。

1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問3】老齢厚生年金

《問3》 厚生年金保険の被保険者に支給される老齢厚生年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

  1. Aさん(63歳)の基本月額が10万円、平成31年2月の標準報酬月額が20万円、60歳以後は賞与が支給されていない場合、平成31年2月分の特別支給の老齢厚生年金は全額が支給される。
  2. Bさん(66歳)の基本月額が20万円、平成31年2月の標準報酬月額が22万円、平成31年2月以前1年間の標準賞与額の総額が48万円の場合、平成31年2月分の老齢厚生年金は全額が支給される。
  3. 加給年金対象者である配偶者を有するCさん(67歳)に対する老齢厚生年金について、在職支給停止の仕組みにより、その一部が支給停止となる場合、老齢厚生年金に加算される加給年金額についても、その一部が支給停止となる。
  4. Dさん(68歳)に対する老齢厚生年金について、在職支給停止の仕組みにより、その全部が支給停止となる場合、老齢厚生年金に加算される経過的加算額についても、その全部が支給停止となる。


[正解]  (適切)

  1. Aさん(63歳)の基本月額が10万円、平成31年2月の標準報酬月額が20万円、60歳以後は賞与が支給されていない場合、平成31年2月分の特別支給の老齢厚生年金は全額が支給される。
  2. [解説]
    Aさんは63歳で65歳未満(60歳~64歳)なので、基本月額と標準報酬月額の合計が額が28万円以下であれば全額支給される。Aさんの場合、合計額が30万円なので、一定額が支給停止となる。なお、基本月額が28万円以下で報酬月額が46万円以下のとき、「(報酬月額+基本月額-28万円)×1/2✕12=12万円(年額)」が支給停止額となる。月額1万円の支給停止なので、支給される年金額は、10万円-1万円=9万円となる。

  3. Bさん(66歳)の基本月額が20万円、平成31年2月の標準報酬月額が22万円、平成31年2月以前1年間の標準賞与額の総額が48万円の場合、平成31年2月分の老齢厚生年金は全額が支給される。
  4. [解説]
    Bさんは66歳で65歳以上(65歳~69歳)なので、基本月額と標準報酬月額の合計額が46万円以下であれば全額支給される。また標準賞与額は12ヶ月で割って加算する。よって、20万円+22万円+48万円/12=46万円となり、全額支給される。なお、標準報酬月額と標準賞与額を合わて総報酬月額相当額という。

  5. 加給年金対象者である配偶者を有するCさん(67歳)に対する老齢厚生年金について、在職支給停止の仕組みにより、その一部が支給停止となる場合、老齢厚生年金に加算される加給年金額についても、その一部が支給停止となる。
  6. [解説]
    加給年金額が加算されている場合、老齢厚生年金が支給(一部支給)されている場合は加給年金額は全額支給、老齢厚生年金が全額支給停止されている場合は、加給年金額も全額支給停止となる。加給年金額に一部支給停止はないため、誤りとなる。

  7. Dさん(68歳)に対する老齢厚生年金について、在職支給停止の仕組みにより、その全部が支給停止となる場合、老齢厚生年金に加算される経過的加算額についても、その全部が支給停止となる。
  8. [解説]
    経過的加算は、65歳からの老齢基礎年金が定額部分より低い金額となるため、減少額を補てんするために支給される年金だが、老齢厚生年金に加算される。在職老齢年金として年金の一部支給停止や全部支給停止となっても、老齢基礎年金と経過的加算は支給停止にならない

1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問2】育児休業給付金

《問2》 育児休業および雇用保険の育児休業給付金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 育児休業給付金の支給対象となる育児休業は、育児休業取得可能期間の範囲内において、1カ月単位で3回まで分割して取得することができる。
  2. 育児休業給付金は、育児休業期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合、育児休業を開始した日から1カ月ごとに、休業開始時賃金日額に30日を乗じて得た額の50%相当額が支給される。
  3. 母親が育児休業を取得した後、同一の子について父親が育児休業を取得した場合、「同一の子について配偶者が育児休業をする場合の特例」(パパ・ママ育休プラス制度)により、父母ともに子が1歳2カ月に達する日まで育児休業を取得することができる。
  4. 育児休業を取得することができる期間について、保育所等における保育の利用を希望して申込みを行っているが、その実施が行われないなどの事情がある場合、子が1歳6カ月に達する日までの延長および子が2歳に達する日までの再延長が認められる。


[正解]  (適切)

  1. 育児休業給付金の支給対象となる育児休業は、育児休業取得可能期間の範囲内において、1カ月単位で3回まで分割して取得することができる。
  2. [解説]
    介護休業において、対象家族1人つき通算93日まで、3回を上限として、介護休業を分割して取得することができる(平成29年1月1日施行)。一方、育児休業においては、配偶者の出産後8週間以内の期間内にされた最初の育児休業については、特別な事情がなくても、再度の取得が可能となる「出産後8週間以内の父親等の育児休業に関する特例(法第5条第2項関係)」がある。なお、この特例を適用するためには、出産後8週間以内に育児休業を開始し、かつ終了していなければならない。

  3. 育児休業給付金は、育児休業期間中に事業主から賃金が支払われなかった場合、育児休業を開始した日から1カ月ごとに、休業開始時賃金日額に30日を乗じて得た額の50%相当額が支給される。
  4. [解説]
    育児休業給付は、被保険者が1歳又は1歳2か月(支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6か月又は2歳)未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある完全月が12か月以上あれば、受給資格の確認を受けることができる。育児休業給付金の支給額は、支給対象期間(1か月)当たり、原則として休業開始時賃金日額✕支給日数の67%(育児休業の開始から6か月経過後50%)相当額となっています。

  5. 母親が育児休業を取得した後、同一の子について父親が育児休業を取得した場合、「同一の子について配偶者が育児休業をする場合の特例」(パパ・ママ育休プラス制度)により、父母ともに子が1歳2カ月に達する日まで育児休業を取得することができる。
  6. [解説]
    「パパ・ママ育休プラス制度(父母ともに育児休業を取得する場合の育児休業取得可能期間の延長)」を利用する場合は、育児休業の対象となる子の年齢が原則1歳2か月までとなる。この特例を利用するためには、(本人の)配偶者が子の1歳に達する日以前に育児休業をしており、本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前でなければならない。加えて、本人の育児休業開始予定日が、配偶者の育児休業の初日以降でなければならない。また、育児休業等可能日数は、子が1歳に達する日までの日数で、母の場合は、産後休業期間(8週間)と育児休業期間を合わせて1年間となる。
    さて、本肢についてだが、母が育児休業を取得した後に父が取得した場合、母の育児休業開始日が父より先であるため、母はパパ・ママ育休プラスの対象とならず、原則どおり1歳到達日までが取得期間となる。なお、産後8週間の時期に父も育児休業を取り、その後、母が育児休業を取れば1年を超えて取得することができる。さらに、父が育児休業を再取得すれば1歳2か月まで育児休業を取ることができる。

  7. 育児休業を取得することができる期間について、保育所等における保育の利用を希望して申込みを行っているが、その実施が行われないなどの事情がある場合、子が1歳6カ月に達する日までの延長および子が2歳に達する日までの再延長が認められる。
  8. [解説]
    保育所等における保育の実施が行われないなどの理由により、子が1歳に達する日後の期間に育児休業を取得する場合は、子が1歳6か月に達する日前まで育児休業給付金の支給対象期間が延長できる。加えて、平成29年10月より、子が1歳6か月に達する日後の期間についても育児休業を取得する場合、その子が2歳に達する日前までの期間、育児休業給付金の支給対象となった。子が2歳に達する日前まで支給対象期間を延長するためには、改めて確認書類の提出が必要となる。なお、保育所等は、児童福祉法第39条に規定する保育所等をいい、いわゆる無認可保育施設はこれに含まれない。

1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問1】公的介護保険

《問1》 公的介護保険(以下、「介護保険」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 平成30年8月以降、第1号被保険者および第2号被保険者のうち、前年の合計所得金額が220万円以上の者が介護サービスを利用した場合の自己負担割合は、原則として、3割である。
  2. 介護保険の被保険者が有料老人ホーム(地域密着型特定施設等を除く)に入所し、その施設の所在地に住所を変更した場合、原則として、引き続き施設入所前の住所地の市町村(特別区を含む)が実施する介護保険の被保険者となる。
  3. 要介護認定を受けた被保険者は、その介護の必要の程度が現に認定を受けている要介護状態区分以外の要介護状態区分に該当するときは、要介護認定有効期間の満了前であっても、市町村(特別区を含む)に対し、区分変更の認定の申請をすることができる。
  4. 介護医療院は、主として長期療養を必要とする一定の要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設である。


[正解]  (不適切)

  1. 平成30年8月以降、第1号被保険者および第2号被保険者のうち、前年の合計所得金額が220万円以上の者が介護サービスを利用した場合の自己負担割合は、原則として、3割である。
  2. [解説]
    平成30年8月から、現役並みの所得のある人は、介護サービスを利用したときの自己負担が3割となった。これまでは1割又は一定以上の所得のある人は2割となっていため、平成30年8月から65歳以上の人(第1号被保険者)であって、現役並みの所得のある人は3割負担となる。具体的には 、65歳以上で、合計所得金額が220 万円以上の人が該当する。ただし、合計所得金額が220万円以上であっても、世帯の65歳以上の方の「年金収入とその他の合計所得金額」の合計が単身で340 万円、2人以上の世帯で463万円未満の場合は2割負担又は1割負担になる。

  3. 介護保険の被保険者が有料老人ホーム(地域密着型特定施設等を除く)に入所し、その施設の所在地に住所を変更した場合、原則として、引き続き施設入所前の住所地の市町村(特別区を含む)が実施する介護保険の被保険者となる。
  4. [解説]
    介護保険の被保険者資格は原則として住所地主義により行われる。しかし介護保険施設等への入所で住所を移転した場合等も住所地主義をとってしまうと、施設等のある市区町村の財政負担が大きくなる。そこで、一定の場合に住所地特例として例外を設けている。この特例に該当すれば、介護保険料は前住所地の市区町村に支払い、要介護認定や介護給付も前住所地の市区町村から受けることになる。なお、この特例には地域密着型特例施設は除かれる。

  5. 要介護認定を受けた被保険者は、その介護の必要の程度が現に認定を受けている要介護状態区分以外の要介護状態区分に該当するときは、要介護認定有効期間の満了前であっても、市町村(特別区を含む)に対し、区分変更の認定の申請をすることができる。
  6. [解説]
    認定を受けている人で、心身の状態が著しく変化した場合には、認定有効期間内であっても更新時期を待たずに区分変更申請をすることができる。もし変更できなければ、十分な介護サービスが受けられないと考えれば、適切な内容だと判断できる。

  7. 介護医療院は、主として長期療養を必要とする一定の要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設である。
  8. [解説]
    介護医療院は、平成30年4月より創設され、長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者を対象とし、「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能とを兼ね備えた施設である。つまり、医療の必要な要介護高齢者の長期療養・生活施設である。「介護医療院」という名前からどのような施設かある程推測できるだろう。なお、介護医療院には、重篤な身体疾患を有する者及び身体合併症を有する認知症高齢者を対象とするⅠ型と、Ⅰ型より容体の比較的安定した人を対象とするⅡ型がある。1人対する医師や看護師の数などの施設基準が異なる。