1級FP過去問解説(応用)2019年1月【問55】投資指標

【第2問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問54》~《問56》)に答えなさい。


 Aさん(40歳)は、将来に向けた資産形成のため、上場株式と投資信託への投資を行うことを検討しており、X社株式およびYファンド・Zファンドに興味を持っている。また、投資信託への投資については、「つみたてNISA」を利用してみたいと考えている。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。X社の財務データ等は、以下のとおりである。

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

《問55》《設例》の〈X社の財務データ〉に基づいて、①X社の平成30年3月期の自己資本当期純利益率と②X社の平成30年3月期のインタレスト・カバレッジ・レシオを、それぞれ求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。なお、自己資本当期純利益率の計算にあたって、自己資本は平成29年3月期と平成30年3月期の平均を用いること。



[正解]
5.45(%) ② 12.17(倍)

[解説]

①自己資本当期純利益率(ROE)
・当期純利益は、「親会社株主に帰属する当期純利益」にある2,600百万円となるため、あとは自己資本を求める必要がある。
・自己資本は純資産の部全額を指すこともあるが、本問のように、新株予約権と非支配株主持分(少数株主持分)が示されている場合は、これらを除いた額が自己資本となる。
 よって、各期の自己資本は、「純資産の部合計-新株予約権-非支配株主持分」で求める。
・当期純利益は、年間通した利益の合計であることから、自己資本も期末の金額ではなく、2期の平均を用いるのが一般的である。平成29年3月末期の自己資本は平成29年4月の自己資本でもあるため、平均値を使用する。
\begin{align*}
&自己資本当期純利益率=当期純利益÷自己資本(2期平均)\\
&=\frac{(51,000百万円-700百万円-3,000百万円)+(52,000百万円-800百万円-3,000百万円)}{2}\\
&=47,750百万円\\
&\frac{2,600百万円}{47,750百万円}×100\\
&=5.445・・・%\\
\end{align*}
よって、5.45(%) となる。

②インタレスト・カバレッジ・レシオ
・インタレスト・カバレッジ・レシオは、企業の金利負担能力を測るための指標である。年間の事業利益である、営業利益・受取利息・配当金が、金融費用である支払利息・割引料の何倍かで示し、倍率が高いほど金利負担の支払い能力が高いと判断される。
\begin{align*}
&=\frac{(営業利益+受取利息+受取配当金)}{支払利息+割引率}\\
&=\frac{(7,000百万円+100百万円+200百万円)}{600百万円}\\
&=12.166・・・倍\\
\end{align*}
よって、12.17(倍)となる。


1級FP過去問解説(応用)2019年1月【問54】つみたてNISA

【第2問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問54》~《問56》)に答えなさい。


 Aさん(40歳)は、将来に向けた資産形成のため、上場株式と投資信託への投資を行うことを検討しており、X社株式およびYファンド・Zファンドに興味を持っている。また、投資信託への投資については、「つみたてNISA」を利用してみたいと考えている。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。X社の財務データ等は、以下のとおりである。

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

《問54》Mさんは、Aさんに対して、非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度の仕組みについて説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、本問において、当該非課税制度を「つみたてNISA」といい、当該累積投資勘定を「つみたてNISA勘定」という。

「つみたてNISAは、金融機関で非課税口座を開設し、その口座内に設定するつみたてNISA勘定を通じて購入した公募株式投資信託などについて、本来は課税される分配金や譲渡益等が非課税となる制度です。
つみたてNISAの対象となる金融商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の商品性を有する公募株式投資信託やETF(上場投資信託)とされています。なお、つみたてNISA勘定を通じて購入したETF(上場投資信託)の分配金を非課税とするためには、分配金の受取方法として( ① )方式を選択する必要があります。
つみたてNISA勘定を通じて購入することができる限度額(非課税枠)は、年間( ② )万円です。また、その購入方法は累積投資契約に基づく定期かつ継続的な買付けとされています。定額購入による積立投資方法は( ③ )平均法と呼ばれ、同じく投資時期の分散を図る定量購入による場合に比べて、平均購入単価を抑える効果が期待できます。
つみたてNISAにおける非課税期間は、当該つみたてNISA勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長で( ④ )年間となります。
なお、つみたてNISA勘定を通じて購入した公募株式投資信託やETF(上場投資信託)に譲渡損失が生じた場合、その損失の金額は、特定口座等の他の口座で生じた上場株式等に係る譲渡益の金額と損益の通算をすることはできません」



[正解]

株式数比例配分(方式) ② 40(万円)
ドルコスト(平均法) ④ 20(年間)

[解説]

株式数比例配分方式は、すべての国内上場株式の配当金を取引口座で受け取れる方法で、複数の証券口座で受け取る場合は株数の割合で配当金が支払われる。配当金の受け取り方法には他に、登録配当金受領口座方式、個別銘柄指定方式、配当金領収証方式があるが、非課税扱いにするためには、株式数比例配分方式を選択しなければならない。

<つみたてNISA>
つみたてNISAは、2018年1月から始まった特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度である。

対象者  国内に住む20歳以上の者
口座開設  1人1口座のみ
非課税枠  年間40万円
非課税期間  20年間
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託
(例)公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすもの
・販売手数料はゼロ(ノーロード)
・信託報酬は一定水準(国内株のインデックス投信の場合0.5%)以下に限定
・顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
・信託契約期間が無期限または20年以上であること
・分配頻度が毎月でないこと
・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
備考  途中解約はいつでも可能
 一般NISAとどちらかを選択する。


1級FP過去問解説(応用)2019年1月【問53】遺族給付の金額

【第1問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問51》~《問53》)に答えなさい。


自営業者であるAさん(50歳)は、大学卒業後に入社した建設会社を7年前に退職し、父親が経営していた工務店を引き継ぎ、現在に至っている。Aさんは、50歳になったことを契機として、老後の生活資金を準備するために国民年金基金や小規模企業共済制度への加入を検討している。また、Aさんは、今後自分が疾病等により医療費の一部負担金が高額となった場合の国民健康保険の給付や、自分に万一のことがあった場合の公的年金制度の遺族給付について知りたいと思っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。Aさんの家族に関する資料は、以下のとおりである。
〈Aさんの家族に関する資料〉
(1) Aさん(本人)
・昭和44年1月25日生まれ
・公的年金の加入歴
 平成元年1月から平成3年3月までの大学生であった期間(27月)は、国民年金に任意加入していない。
 平成3年4月から平成23年12月まで厚生年金保険の被保険者である。
 平成24年1月から現在に至るまで国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料を納付している(付加保険料は納付していない)。
・平成24年1月から現在に至るまで国民健康保険の被保険者である。
(2) Bさん(妻)
・昭和44年4月8日生まれ
・公的年金の加入歴
 昭和63年4月から平成8年4月まで厚生年金保険の被保険者である。
 平成8年5月から平成23年12月まで国民年金の第3号被保険者である。
 平成24年1月から現在に至るまで国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料を納付している(付加保険料は納付していない)。
・平成24年1月から現在に至るまで国民健康保険の被保険者である。
(3) Cさん(長男、大学生)
・平成10年5月15日生まれ
(4) Dさん(二男、高校生)
・平成14年10月10日生まれ
※妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんは、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
※家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

《問53》仮に、Aさんが現時点(平成31年1月27日)で死亡し、妻Bさんが遺族基礎年金および遺族厚生年金の受給権を取得した場合、Aさんの死亡時における妻Bさんに係る遺族給付について、次の①および②に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、年金額の端数処理は、円未満を四捨五入すること。
なお、計算にあたっては、下記の〈条件〉に基づき、年金額は、平成30年度価額に基づいて計算するものとする。

① 遺族基礎年金の年金額はいくらか。
② 遺族厚生年金の年金額(本来水準による価額)はいくらか。
〈条件〉
(1) 厚生年金保険の被保険者期間
・総報酬制導入前の被保険者期間 : 144月
・総報酬制導入後の被保険者期間 : 105月
(注)要件を満たしている場合、300月のみなし計算を適用すること。
(2) 平均標準報酬月額・平均標準報酬額(平成30年度再評価率による額)
・総報酬制導入前の平均標準報酬月額 : 280,000円
・総報酬制導入後の平均標準報酬額 : 393,000円
(3) 乗率
・総報酬制導入前の乗率 : 1,000分の7.125
・総報酬制導入後の乗率 : 1,000分の5.481
(4) 中高齢寡婦加算額
 584,500円(要件を満たしている場合のみ加算すること)




[正解]
1,003,600(円) ② 385,090(円)

[解説]

①遺族基礎年金の年金額
779,300円+224,300円=1,003,600円
②遺族厚生年金の年金額
\begin{align*}
=280,000円✕(\frac{7.125}{1,000}×144月+\frac{5.481}{1,000}×105月)✕\frac{3}{4}\\
\end{align*}
=385,090.0・・・円
⇒ 385,090(円)


[年金額]

<平成30年度>
・遺族基礎年金額:779,300円
・子の加算額(第1子・第2子):224,300円
・子の加算額(第3子以降):74,800円

<平成31年度>
・遺族基礎年金額:780,100円
・子の加算額(第1子・第2子):224,500円
・子の加算額(第3子以降):74,800円


[要点のまとめ]

<遺族給付>
1.遺族基礎年金の要件
・被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上あること。
・保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あること。
※ただし平成38年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければよい。
(対象者)
・死亡した者によって生計を維持されていた、(1)子のある配偶者か(2)
 子とは、
 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
2.遺族厚生年金の要件
被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき
・保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の1以上あること。
※ただし平成38年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければよい。
・老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。
(対象者)
・死亡した者によって生計を維持されていた、
 妻
 子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
 55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる。)
※30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付となる。
※子のある配偶者、子(子とは18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者に限る)は、遺族基礎年金も併せて受けられる)。
3.中高齢寡婦加算の要件
遺族厚生年金(長期の遺族年金では、死亡した夫の被保険者期間が20年以上の場合の加算給付の1つ。遺族基礎年金は子どものいない妻には支給されませんず、子がいてもその子が18歳(18歳の誕生日の属する年度末まで)または20歳(1級・2級の障害の子)に達すれば支給されなくなるが、夫が死亡したときに40歳以上で子のない妻(夫の死亡後40歳に達した当時、子がいた妻も含む)が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間中高齢の寡婦加算(定額)が加算される。妻が65歳になると自分の老齢基礎年金が受けられるため、中高齢の寡婦加算はなくなる。

1級FP過去問解説(応用)2019年1月【問52】高額療養費

【第1問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問51》~《問53》)に答えなさい。


自営業者であるAさん(50歳)は、大学卒業後に入社した建設会社を7年前に退職し、父親が経営していた工務店を引き継ぎ、現在に至っている。Aさんは、50歳になったことを契機として、老後の生活資金を準備するために国民年金基金や小規模企業共済制度への加入を検討している。また、Aさんは、今後自分が疾病等により医療費の一部負担金が高額となった場合の国民健康保険の給付や、自分に万一のことがあった場合の公的年金制度の遺族給付について知りたいと思っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。Aさんの家族に関する資料は、以下のとおりである。
〈Aさんの家族に関する資料〉
(1) Aさん(本人)
・昭和44年1月25日生まれ
・公的年金の加入歴
 平成元年1月から平成3年3月までの大学生であった期間(27月)は、国民年金に任意加入していない。
 平成3年4月から平成23年12月まで厚生年金保険の被保険者である。
 平成24年1月から現在に至るまで国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料を納付している(付加保険料は納付していない)。
・平成24年1月から現在に至るまで国民健康保険の被保険者である。
(2) Bさん(妻)
・昭和44年4月8日生まれ
・公的年金の加入歴
 昭和63年4月から平成8年4月まで厚生年金保険の被保険者である。
 平成8年5月から平成23年12月まで国民年金の第3号被保険者である。
 平成24年1月から現在に至るまで国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料を納付している(付加保険料は納付していない)。
・平成24年1月から現在に至るまで国民健康保険の被保険者である。
(3) Cさん(長男、大学生)
・平成10年5月15日生まれ
(4) Dさん(二男、高校生)
・平成14年10月10日生まれ
※妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんは、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
※家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

《問52》 Mさんは、Aさんに対して、国民健康保険の高額療養費について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。

「国民健康保険の被保険者が、同一月内に、同一の医療機関等で診療を受けて支払った一部負担金の合計が当該被保険者に係る自己負担限度額(高額療養費算定基準額)を超えた場合、所定の手続により、その超えた金額が高額療養費として支給されます。この一部負担金の合計には、差額ベッド代、食事代、保険適用となっていない医療行為等は含まれず、70歳未満の者の場合、原則として、医療機関ごとに、入院・外来、医科・歯科別に一部負担金が( ① )円以上のものが計算対象となります。また、過去12カ月以内に複数回高額療養費が支給されると、( ② )回目から自己負担限度額が軽減される仕組みがあります。
なお、事前に保険者から『国民健康保険限度額適用認定証』の交付を受け、医療機関の窓口に当該認定証と国民健康保険被保険者証を提示すると、一医療機関の窓口で支払う同一月内の一部負担金を自己負担限度額までとすることができます。
仮に、Aさんが平成31年2月中に病気による入院で120万円の医療費(すべて国民健康保険の保険給付の対象となるもの)がかかり、事前に適用区分イが記載された『国民健康保険限度額適用認定証』の交付を受け、所定の手続をした場合、Aさんは、医療機関に一部負担金のうち( ③ )円を支払えばよく、実際の一部負担金との差額( ④ )円が現物給付されることになります」

〈資料〉高額療養費の自己負担限度額(70歳未満、月額、一部抜粋)

基準所得額による適用区分 自己負担限度額
901万円超 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
600万円超901万円以下 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
210万円超600万円以下 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%


[正解]

21,000(円) ②(回目) ③173,820(円) ④186,180(円)

[解説]

( ① )( ② )
70歳未満の者の場合、原則として、医療機関ごとに、入院・外来、医科・歯科別に一部負担金が21,000円以上のものが計算対象となる。また、過去12カ月以内に複数回高額療養費が支給されると、4回目(4ヶ月目)から自己負担限度額が軽減される「多段該当」となる。
( ③ )( ④ )
総医療費が120万円なので、イの計算式にあてはめ、自己負担限度額を求める。
・167,400円+(1,200,000円-558,000円)×1%
 =173,820円・・・自己負担限度額
・総医療費から一部負担額を求める。
 120万円✕0.3=360,000円・・・3割負担分
・払い戻される金額を求める。
 360,000円-173,820円
 =186,180円・・・払い戻される金額


[要点のまとめ]

<医療費控除>
その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができる。
1.医療費控除額の計算式
 支出した医療費の額-保険金の額-10万円(又は総所得金額等の合計額✕5%のいずれか低い方)
2.医療費控除の対象
・医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の際の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの
・風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金
健康診断等の結果、重大な疾病が発見され、かつ、その診断等に引き続きその疾病の治療を行った場合
3.医療費控除の対象外
・自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場の料金
健康診断の費用や医師等に対する謝礼金など
・ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金

<高額療養費>
1.概要
高額療養費とは、同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、自己負担限度額を超えた分が、あとで払い戻される制度である。医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、あらかじめ取得した「限度額適用認定証」を提示すれば、窓口での支払いは自己負担額のみとなる。

2.対象となる自己負担額
高額療養費の対象となる自己負担額は、受診者別、医療機関別、入院・通院別で算出されて、21,000円以上のもの(70歳以上の方は受診者別、入院・通院別で全部の自己負担額)が対象とる。
3.多数該当
療養を受けた月以前の1年間(12ヵ月)に、同一世帯(被保険者とその被扶養者)で3ヵ月(3回)以上高額療養費の支給を受けた場合(月は連続する必要なし)は、4ヵ月(4回)目からは「多数該当」となり、自己負担限度額が軽減される。

<セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)>
健康の維持増進及び疾病の予防への取組として健康診査やがん検診などを行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までに、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができる。
1.対象者:本人又は本人と生計を一にする配偶者その他の親族
2.控除額:その年中の支払額12,000円を超える部分の金額について、その年分の総所得金額等から控除する。
  ※支払額100,000円(控除額では100,000円-12,000円=88,000円)が上限となる。
3.要件:特定健康診査(メタボ健診)・予防接種・定期健康診断(事業主健診)・健康診査・がん検診を受けていること
  ※対象製品に「セルフメディケーション税控除対象」の共通識別マークがある。
4.10万円の医療費控除との併用:できない。また医療費控除と同様、確定申告が必要である。


1級FP過去問解説(応用)2019年1月【問51】国民年金基金・小規模企業共済制度

【第1問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問51》~《問53》)に答えなさい。


自営業者であるAさん(50歳)は、大学卒業後に入社した建設会社を7年前に退職し、父親が経営していた工務店を引き継ぎ、現在に至っている。Aさんは、50歳になったことを契機として、老後の生活資金を準備するために国民年金基金や小規模企業共済制度への加入を検討している。また、Aさんは、今後自分が疾病等により医療費の一部負担金が高額となった場合の国民健康保険の給付や、自分に万一のことがあった場合の公的年金制度の遺族給付について知りたいと思っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。Aさんの家族に関する資料は、以下のとおりである。
〈Aさんの家族に関する資料〉
(1) Aさん(本人)
・昭和44年1月25日生まれ
・公的年金の加入歴
 平成元年1月から平成3年3月までの大学生であった期間(27月)は、国民年金に任意加入していない。
 平成3年4月から平成23年12月まで厚生年金保険の被保険者である。
 平成24年1月から現在に至るまで国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料を納付している(付加保険料は納付していない)。
・平成24年1月から現在に至るまで国民健康保険の被保険者である。
(2) Bさん(妻)
・昭和44年4月8日生まれ
・公的年金の加入歴
 昭和63年4月から平成8年4月まで厚生年金保険の被保険者である。
 平成8年5月から平成23年12月まで国民年金の第3号被保険者である。
 平成24年1月から現在に至るまで国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料を納付している(付加保険料は納付していない)。
・平成24年1月から現在に至るまで国民健康保険の被保険者である。
(3) Cさん(長男、大学生)
・平成10年5月15日生まれ
(4) Dさん(二男、高校生)
・平成14年10月10日生まれ
※妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんは、Aさんと同居し、Aさんと生計維持関係にあるものとする。
※家族全員、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

《問51》Mさんは、Aさんに対して、国民年金基金および小規模企業共済制度について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。

〈国民年金基金〉
Ⅰ 「 国民年金基金は、国民年金の第1号被保険者を対象に、老齢基礎年金に上乗せする年金を支給する任意加入の年金制度です。国民年金基金には、地域型国民年金基金と職能型国民年金基金の2種類がありますが、これらは同時に加入することはできません。なお、平成31年4月1日に各都道府県の地域型国民年金基金と22の職能型国民年金基金が合併し、合併後の法人名は( ① )国民年金基金となる予定です。
国民年金基金への加入は口数制です。1口目は、2種類の( ② )年金のいずれかを選択し、2口目以降は、( ② )年金と( ③ )年金のなかから選択します。なお、( ② )年金は、原則として65歳から支給されますが、老齢基礎年金の繰上げ支給を請求した場合は、国民年金基金から( ④ )相当分の年金が減額されて支給されます。
毎月の掛金は、加入員が選択した給付(年金)の型、加入口数、加入時の年齢、性別によって決まりますが、原則として6万8,000円が上限となります。支払った掛金は、税法上、( ⑤ )控除として所得控除の対象となります」
〈小規模企業共済制度〉
Ⅱ 「 小規模企業共済制度は、個人事業主や会社の役員等が廃業や退任をした場合に必要となる資金を準備しておくための共済制度です。毎月の掛金は、1,000円から( ⑥ )円までの範囲内で、500円単位で選択することができます。
共済金は、加入者に廃業等の事由が生じた場合に、掛金納付月数等に応じて支払われます。共済金の受取方法には、『一括受取り』『分割受取り』『一括受取りと分割受取りの併用』があります。このうち、『分割受取り』を選択することができる加入者は、支払われる共済金の額が( ⑦ )円以上で、請求事由が生じた時点で60歳以上である者とされ、分割された共済金は10年間または15年間にわたって年( ⑧ )回支払われます」



[正解]

全国(国民年金基金)  ② 終身(年金)  ③ 確定(年金)
付加年金  ⑤ 社会保険料(控除)  ⑥ 70,000(円)
3,000,000(円)  ⑧ (回)


[解説]

<国民年金基金>
1.概要
国民年金基金は、第2号被保険者との年金額の差を解消するために設けられた第1号被保険者のための老齢基礎年金に上乗せする年金制度である。平成31年3月31日以前は、国民年金基金に地域型国民年金基金と職能型国民年金基金の2種類であったが、平成31年4月1日から各都道府県の地域型国民年金基金と22の職能型国民年金基金が合併し、全国国民年金基金となった。ただ、職能型国民年金基金すべてが合併したわけではなく、歯科医師、司法書士、日本弁護士の3つは職能型国民年金基金として存続しているため、国民年金基金は、全国国民年金基金と職能型国民年金基金の2種類となっている。それぞれの基金の事業内容は同じだが、両方に加入することはできないため、加入する場合にはどちらが選ぶことになる。
2.加入できる人
(1) 日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、自由業、学生などの国民年金の第1号被保険者
(2) 60歳以上65歳未満の国民年金の任意加入者
(3) 海外に居住している国民年金の任意加入者
※一部免除、学生納付特例、納付猶予制度を受けている人は加入できない。
※法定免除を受けている人、国民年金保険料の納付申出をした期間に限り加入できる。
※産前産後期間の免除を受けている人は加入できる。
※国民年金基金の加入は任意だが、任意に脱退はできない。
3.給付内容
国民年金基金への加入は口数制で、1口目は終身年金A型、B型いずれかから選ぶ。A型は保証期間があるタイプ。2口目以降は、終身年金のA型、B型のほか、受給期間が定まっている確定年金のⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型、Ⅳ型、Ⅴ型から選択する。なお、国民年金基金の1口目に付加年金相当が含まれているため、付加年金に加入することはできない
4.掛金
掛金は全額、社会保険料控除の対象となる。
5.老齢基礎年金の繰上げ受給との関連
老齢基礎年金の繰上げ受給では、付加年金も繰上げの対象となる。そのため、繰上げ受給をした場合、国民年金基金の付加年金相当額も繰上げ支給される一方、65歳からの国民年金基金の年金額は付加年金相当額が減額される。

<小規模企業共済>
1.概要
小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度である。
2.掛金
掛金月額は、1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で自由に選ぶことができる。納付方法には、月払い、半年払い、年払いがある。また、掛金は全額、小規模企業共済等掛金控除の対象となる。
3.給付内容
契約者の立場によって異なるが、個人事業主の場合は次のような種類がある。なお、掛金納付月数240ヶ月(20年)未満で任意解約をすると受け取れる共済金は掛金合計額を下回る。
(1) 共済金A
個人事業を廃業した場合や共済契約者の方が死亡した場合
(共済金例)月額1万円10年納付 1,290,600円
(2) 共済金B
老齢給付(65歳以上で180ヶ月以上掛金を払い込んだ場合)
(共済金例)月額1万円10年納付 1,290,800円
(3) 準共済金
個人事業を法人成りし、加入資格がなくなったため、解約をした場合
(共済金例)月額1万円10年納付 1,200,000円
(4) 解約手当金
任意解約や機構解約(掛金を12ヶ月以上滞納した場合)
個人事業を法人成りし、加入資格はなくならなかったが、解約をした場合
4.受け取り方法
共済金等の受取方法は、「一括受取り」、「分割受取り」および「一括受取りと分割受取りの併用」の3種類ある。「分割受取り」および「一括受取りと分割受取りの併用」を希望する場合は、共済金の額300万円以上など一定の要件を満たす必要がある。なお、平成28年4月の制度改正により、分割共済金の支給回数が年4回から年6回(公的年金とは違い、奇数月に支給)となった。


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問50】自己株式の取得・保有・処分

《問50》すべての株式に譲渡制限のある会社(公開会社でない会社)における自己株式の取得、保有、処分に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 会社が特定の株主から自己株式を有償で取得する場合、株主総会の特別決議が必要となるが、株主総会は、定時株主総会ではなく臨時株主総会でもさしつかえない。
  2. 会社が特定の株主から自己株式を有償で取得する場合、取得の対価として交付する金銭等の帳簿価額の総額は、取得の効力発生日における分配可能額の範囲内でなければならない。
  3. 会社が合併や会社分割などの組織再編を行う場合、所定の手続により、新たな株式の発行に代えて、既に保有する自己株式を交付することもできる。
  4. 会社が自己株式を消却した場合、発行済株式総数および資本金の額が減少することになるため、発行済株式総数および資本金の額の変更登記を行う必要がある。


[正解]  (不適切)

  1. 会社が特定の株主から自己株式を有償で取得する場合、株主総会の特別決議が必要となるが、株主総会は、定時株主総会ではなく臨時株主総会でもさしつかえない。
  2. [解説]
    これまで自己株式を取得する場合には、定時株主総会で決議しなければならなかったが、会社法の施行により、臨時株主総会で決議が行えるようになった。

  3. 会社が特定の株主から自己株式を有償で取得する場合、取得の対価として交付する金銭等の帳簿価額の総額は、取得の効力発生日における分配可能額の範囲内でなければならない。
  4. [解説]
    株主に対して交付する金銭等(当該株式会社の株式を除く)の帳簿価額の総額は、その効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない(会社法第461条)。

  5. 会社が合併や会社分割などの組織再編を行う場合、所定の手続により、新たな株式の発行に代えて、既に保有する自己株式を交付することもできる。
  6. [解説]
    会社が吸収分割をする場合において、吸収分割承継会社が株式会社であるときは、吸収分割契約において、次に掲げる事項を定めなければならない(会社法758条1号)。吸収分割により吸収分割株式会社又は吸収分割承継株式会社の株式を吸収分割承継株式会社に承継させるときは、当該株式に関する事項(会社法758条3号)。

  7. 会社が自己株式を消却した場合、発行済株式総数および資本金の額が減少することになるため、発行済株式総数および資本金の額の変更登記を行う必要がある
  8. [解説]
    資本金の額と発行済株式総数は連動していないため、自己株式を消却したとしても資本金の額の変更登記を申請する必要はない。会社が自己株式を消却した場合には、効力発生日から2週間以内に変更登記申請を行わなければならない。


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問49】特定の評価会社

《問49》取引相場のない株式の相続税評価における特定の評価会社に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める土地等の価額の合計額の割合が90%以上である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。
  2. 課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める株式等の価額の合計額の割合が50%以上である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。
  3. 課税時期において開業後3年未満である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。
  4. 休業中であることにより特定の評価会社に該当する評価会社の株式の価額は、同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合であっても、配当還元方式により算出した価額によって評価することはできない。


[正解]  (不適切)

  1. 課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める土地等の価額の合計額の割合が90%以上である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず特定の評価会社に該当する。
  2. [解説]
    大会社(一定の小会社含む):土地保有割合が70%以上である会社
    中会社(一定の小会社含む):土地保有割合が90%以上である会社
    土地保有割合の基準は、会社の規模等によって異なる。

  3. 課税時期において総資産価額(相続税評価額)に占める株式等の価額の合計額の割合が50%以上である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。
  4. [解説]
    課税時期において評価会社の有する各資産を評価した価額の合計額のうちに占める株式及び出資の価額の合計額の割合50%以上である評価会社は特定の評価会社に該当する。

  5. 課税時期において開業後3年未満である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。
  6. [解説]
    課税時期において開業後3年未満である評価会社は、当該会社の業種や規模にかかわらず、特定の評価会社に該当する。

  7. 休業中であることにより特定の評価会社に該当する評価会社の株式の価額は、同族株主以外の株主等が取得した株式に該当する場合であっても、配当還元方式により算出した価額によって評価することはできない。
  8. [解説]
    開業前又は休業中の会社の株式の価額は、1株当たりの純資産価額によって評価する。よって、配当還元方式により算出した価額によって評価することはできない。


[要点のまとめ]

<特定の評価会社>
(1) 株式保有特定会社
(2) 土地保有特定会社
(3) 開業前又は休業中の会社
(4) 開業後3年未満の会社
(5) 比準要素数0の会社
(6) 比準要素数1の会社
(7) 清算中の会社


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問48】中心的な同族株主

《問48》非上場会社であるX株式会社(以下、「X社」という)の同族関係者であるA~Gの所有株式数等は、下記のとおりである。E、F、Gがそれぞれ中心的な同族株主に該当するか否かの判定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、発行済株式総数は100株であり、X社株式は議決権を有する普通株式である。

株主 株主Aとの関係 X社における地位 所有株式数
本人 代表取締役社長 50株
なし 3株
代表取締役会長 16株
長男 取締役営業部長 13株
なし 3株
叔父(Cの弟) 監査役 10株
甥(Eの長男) 経理部長 5株
  1. E、F、Gは、いずれも中心的な同族株主に該当する。
  2. Fは中心的な同族株主に該当し、EおよびGは中心的な同族株主に該当しない。
  3. EおよびFは中心的な同族株主に該当し、Gは中心的な同族株主に該当しない。
  4. EおよびGは中心的な同族株主に該当し、Fは中心的な同族株主に該当しない。


[正解]  (適切)

[解説]

「中心的な同族株主」とは、課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち、これらの者が有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である会社を含む。)の有する議決権の合計数がその会社の議決権総数の25%以上である場合における、その株主である。
本問では、
「同族株主の1人(EorForG)並びにその株主(EorForG)の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族の有する議決権の合計数がその会社の>議決権総数の25%以上であれば、その株主(EorForG)は中心的な同族株主となる。
(1) Eについて
E(3株)
Eの直系血族:父C(16株)、甥(5株)
Eの兄弟姉妹:本人A(50株)
合計74株で、議決権総数の74%となる。
議決権総数の25%以上なので、Eは中心的な同族株主となる。
(2) Fについて
F(10株)
Fの兄弟姉妹:父C(16株)
合計26株で、議決権総数の26%となる。
議決権総数の25%以上なので、Fは中心的な同族株主となる。
(3) Gについて
G(5株)
Gの直系血族:弟E(3株)、父C(16株)
合計24株で、議決権総数の24%となる。
議決権総数の25%未満なので、Gは中心的な同族株主に該当しない

1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問47】相続税の申告

《問47》次の各ケースのうち、相続人が相続税の申告をしなければならないものはいくつあるか。なお、各ケースにおいて、被相続人は平成30年中に死亡し、相続人は配偶者と子の合計2人であるものとする。また、相続の放棄をした者はおらず、記載のない事項については考慮しないものとする。

(a) 相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、平成28年中に子が被相続人から現金1,000万円の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けていた場合
(b) 相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、そのほかに、契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約により配偶者が受け取った死亡保険金2,000万円がある場合
(c) 相続開始時点の被相続人の財産は5,000万円(相続税評価額)であるが、配偶者がすべての財産を相続により取得し、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることにより納付すべき相続税額が算出されない場合

  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 0(なし)


[正解]  (適切)

  1. (a) 相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、平成28年中に子が被相続人から現金1,000万円の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けていた場合
  2. [解説]
    現金1,000万円の贈与について相続時精算課税制度の適用を受けており、2,500万円以下なので全額贈与税はかからず、相続税の課税対象となる。相続税の計算の流れにおいて、各人の課税価格を計算する際に、相続や遺贈などで習得した財産に相続開始前3年以内の贈与財産や相続時精算課税を選択した贈与財産を加えた金額が相続財産となる。
    ・相続財産:3,000万円+1,000万円=4,000万円
    相続人は配偶者と子の2人だけなので、遺産に係る基礎控除額は、3,000万円+600万円✕2人=4,200万円
    ・相続税の総額
    4,000万円-4,000万円=0
    相続税はかからないため、申告は不要である。

  3. (b) 相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、そのほかに、契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約により配偶者が受け取った死亡保険金2,000万円がある場合
  4. [解説]
    相続時精算課税制度を選択した贈与財産と同じく、みなし相続財産である死亡保険金も相続や遺贈で取得した財産に加算する。ただ、生命保険金の場合、非課税枠があるため、非課税額を控除してから加算する。
    ・生命保険金の非課税限度額「500万円✕法定相続人の数」
     500万円✕2人=1,000万円
    ・相続財産に加算する生命保険金の額
     2,000万円-1,000万円=1,000万円
    ・相続財産:3,000万円+1,000万円=4,000万円
    ・相続税の総額
    4,000万円-4,000万円=0
    相続税はかからないため、申告は不要である。

  5. (c) 相続開始時点の被相続人の財産は5,000万円(相続税評価額)であるが、配偶者がすべての財産を相続により取得し、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることにより納付すべき相続税額が算出されない場合
  6. [解説]
    「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受ける場合には、適用後の相続税額が0(ゼロ)となっても、相続税の申告が必要である。


1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問46】相続税の税額控除等

《問46》相続税の税額控除等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 被相続人の配偶者が「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けた場合、原則として、配偶者が相続または遺贈により取得した財産の額が1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額とのいずれか多い金額までであるときは、配偶者が納付すべき相続税額は算出されない。
  2. 相続税額の計算上、未成年者控除の適用を受ける未成年者が相続税額の2割加算の対象となる場合、未成年者控除額は、その者の相続税額にその相続税額の100分の20に相当する金額を加算した後の金額から控除する。
  3. 障害者控除額は、相続人が特別障害者に該当する場合、20万円にその者が85歳に達するまでの年数を乗じて算出され、85歳に達するまでの年数に1年未満の端数があるときは、これを1年として計算する。
  4. 父の相続により財産を取得して相続税を納付した子が、父の相続開始後10年以内に開始した母の相続により財産を取得して相続税を納付する場合、相次相続控除の適用を受けることにより、相続税額の計算上、父の相続時に子が納付した相続税額の一部を控除することができる。


[正解]  (不適切)

  1. 被相続人の配偶者が「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けた場合、原則として、配偶者が相続または遺贈により取得した財産の額が1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額とのいずれか多い金額までであるときは、配偶者が納付すべき相続税額は算出されない。
  2. [解説]
    「配偶者に対する相続税額の軽減」は、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した財産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度である。
    (1) 1億6千万円
    (2) 配偶者の法定相続分相当額
    これらを超えなければ配偶者が納付すべき相続税額は算出されない。

  3. 相続税額の計算上、未成年者控除の適用を受ける未成年者が相続税額の2割加算の対象となる場合、未成年者控除額は、その者の相続税額にその相続税額の100分の20に相当する金額を加算した後の金額から控除する。
  4. [解説]

    各種の税額控除等は次の順序で計算する。

    各相続人等の税額 + 相続税額の2割加算
    - 暦年課税分の贈与控除額 - 配偶者の税額軽減
    - 未成年者控除 - 相次相続控除 - 障害者控除
    - 外国税額控除 = 各相続人等の税額

    よって、未成年者控除額は、相続税額の2割加算をした後の金額から控除することになる。

  5. 障害者控除額は、相続人が特別障害者に該当する場合、20万円にその者が85歳に達するまでの年数を乗じて算出され、85歳に達するまでの年数に1年未満の端数があるときは、これを1年として計算する。
  6. [解説]
    障害者控除額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算する)につき10万円で計算した額である。特別障害者の場合は1年につき20万円となる。

  7. 父の相続により財産を取得して相続税を納付した子が、父の相続開始後10年以内に開始した母の相続により財産を取得して相続税を納付する場合、相次相続控除の適用を受けることにより、相続税額の計算上、父の相続時に子が納付した相続税額の一部を控除することができる。
  8. [解説]
    今回の相続開始前10年以内に被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得し相続税が課されていた場合には、その被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人の相続税額から、一定の金額を控除することを相次相続控除という。
    A:祖父から父への相続で、父が相続税を負担
    B:父から子への相続で、相続人が相続財産を取得
    Aで父が負担した相続税額の一部を、Bの相続時に控除する。
    ・相次相続控除は次のすべての要件を満たす人が適用できる。
    (1) 被相続人の相続人であること
     この制度の適用対象者は、相続人に限定されており、相続の放棄をした人及び相続権を失った人がたとえ遺贈により財産を取得しても、この制度は適用されない。
    (2) 前回の相続(その相続の開始前10年以内に開始した相続)により被相続人が財産を取得していること
    (3) 前回の相続(その相続の開始前10年以内に開始した相続)により取得した財産について、被相続人に対し相続税が課税されたこと
    つまり、前回の相続で、被相続人(本肢では父)が財産を取得し、相続税が課税されていなければならない。「祖父⇒父⇒子」で適用できる制度であり、本肢のように「父⇒子、母⇒子」では適用できない。