1級FP過去問解説(応用)2019年1月【問62】課税長期譲渡所得

【第4問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問60》~《問62》)に答えなさい。


 Aさん(65歳)は、12年前に父親の相続により取得した貸駐車場用地(400㎡)を売却して、その売却資金を元手として甲土地を取得し、甲土地の上に店舗併用型賃貸住宅を建築することを検討している。土地の買換えにあたっては、「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」の適用を受ける予定である。
 Aさんが購入を検討している甲土地の概要は、以下のとおりである。

(注)
・甲土地は600㎡の長方形の土地である。
・甲土地は、建蔽率の緩和について特定行政庁が指定する角地である。
・幅員18mの公道は、建築基準法第52条第9項の特定道路であり、特定道路から甲土地までの延長距離は63mである。
・指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
・特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

《問62》Aさんが、以下の〈条件〉で事業用資産である土地を譲渡し、甲土地を取得して、「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合、次の①~③に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。なお、譲渡資産および買換資産は、課税の繰延割合が80%の地域にあるものとする。また、本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しないものとする。

① 課税長期譲渡所得金額はいくらか。
② 課税長期譲渡所得金額に係る所得税および復興特別所得税の合計額はいくらか。
③ 課税長期譲渡所得金額に係る住民税額はいくらか。

〈条件〉

〈譲渡資産および買換資産(甲土地)に関する資料〉
・譲渡資産の譲渡価額 : 8,000万円
・譲渡資産の取得費 : 不明
・譲渡費用 : 300万円(仲介手数料等)
・買換資産の取得価額 : 1億2,000万円



[正解]
① 14,600,000(円)
② 2,235,900(円)
③ 730,000(円)

[解説]

「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」は、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができる制度で、本問では、課税の繰延割合が80%の地域にあるため、20%分が課税の対象となる。
本問は、譲渡資産の譲渡価額より買換資産の取得価額が多いため、譲渡資産の譲渡価額と必要経費にそれぞれ0.2をかける。
①課税長期譲渡所得金額
\(
80,000,000 円-80,000,000 円×80%=16,000,000 円\\
(80,000,000 円×5%+3,000,000 円)× \frac{80,000,000円}{16,000,000円}=1,400,000円\\
16,000,000 円-1,400,000 円=14,600,000 円\\
②所得税および復興特別所得税の合計額\\
14,600,000 円×15%=2,190,000 円\\
2,190,000 円×2.1%=45,990 円\\
2,190,000 円+45,990 円=2,235,990 円 ⇒ 2,235,900 円\\
③住民税額\\
14,600,000 円×5%=730,000 円\\
\)


[要点のまとめ]

<特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例>
1.譲渡資産の譲渡価額と買換資産の取得価額が同額か、又は、買換資産の取得価額の方が多い場合
 譲渡資産の譲渡価額×0.2=収入金額
 (譲渡資産の取得費+譲渡費用)×0.2=必要経費
 収入金額-必要経費=課税される譲渡所得の金額
2.譲渡資産の譲渡価額が買換資産の取得価額より多い場合
 譲渡資産の譲渡価額-買換資産の取得価額×0.8=収入金額
 (譲渡資産の取得費+譲渡費用)×(収入金額÷譲渡資産の譲渡価額)=必要経費
 収入金額-必要経費=課税される譲渡所得の金額


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