1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問43】住宅取得等資金の贈与の非課税の特例

《問43》「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

  1. 本特例の対象となる住宅取得等資金には、不動産仲介手数料や不動産取得税、登録免許税などの住宅用家屋の取得等に要した費用に充てるための金銭は含まれるが、住宅ローンの返済に充てるための金銭は含まれない。
  2. 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年分において、給与所得600万円と「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」適用後の譲渡所得300万円を有する場合、本特例の適用を受けることができる。
  3. 平成30年中に住宅用家屋の新築等に係る契約を締結した場合において、本特例による住宅資金非課税限度額は、受贈者ごとに、住宅取得等資金を充てて新築等をした住宅用家屋が一定の省エネ等住宅であるときは1,500万円、省エネ等住宅以外であるときは1,000万円である。
  4. 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与税の申告書を提出する前に死亡した場合、その受贈者の相続人は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に贈与税の申告書を提出することにより、本特例の適用を受けることができる。


[正解]  (適切)

  1. 本特例の対象となる住宅取得等資金には、不動産仲介手数料や不動産取得税、登録免許税などの住宅用家屋の取得等に要した費用に充てるための金銭は含まれるが、住宅ローンの返済に充てるための金銭は含まれない。
  2. [解説]
    本特例の対象となる住宅取得等資金について、不動産仲介手数料や不動産取得税、登録免許税などの住宅用家屋の取得等に要した費用に充てるための金銭は住宅取得に要した費用だが、新築等の対価や増改築等の費用に充てられたとはいえないため、住宅取得等資金には含まれない。また、住宅取得等資金は、住宅の贈与には適応できず、すでに住宅を取得し、その住宅ローンの返済に充てるための金銭には適用できない。

  3. 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年分において、給与所得600万円と「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」適用後の譲渡所得300万円を有する場合、本特例の適用を受けることができる。
  4. [解説]
    本特例に、「贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること」という要件がある。この合計所得金額の金額については以下のとおりである。
    1.次の(1)と(2)の合計額に、退職所得金額、山林所得金額を加算した金額である。
    ※申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(長・短期譲渡所得については特別控除前の金額)の合計額を加算した金額である。
    (1) 事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額
    (2) 総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額
    ただし、「総所得金額等」で掲げた繰越控除を受けている場合は、その適用前の金額をいう。
    本肢の場合、3,000万円特別控除前の金額となるため、合計所得金額3,900万円となる。

  5. 平成30年中に住宅用家屋の新築等に係る契約を締結した場合において、本特例による住宅資金非課税限度額は、受贈者ごとに、住宅取得等資金を充てて新築等をした住宅用家屋が一定の省エネ等住宅であるときは1,500万円、省エネ等住宅以外であるときは1,000万円である。
  6. [解説]
    平成30年中に契約を締結した場合の住宅資金非課税限度額は、一定の省エネ等住宅であるときが1,200万円で、省エネ等住宅以外が700万円である。

  7. 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与税の申告書を提出する前に死亡した場合、その受贈者の相続人は、原則として、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に贈与税の申告書を提出することにより、本特例の適用を受けることができる。
  8. [解説]
    贈与税の申告書を提出する前に贈与者が亡くなった場合は、受贈者は贈与税の申告期限である3月15日までに贈与税の申告書を提出すれば、住宅取得資金の非課税制度の適用を受けることができる。一方、本肢のように、贈与税の申告書を提出する前に受贈者が亡くなった場合、その受贈者の相続人が権利を継承するため、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に贈与税の申告書を提出することにより、本特例の適用を受けることができる。

[要点のまとめ]

<直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例>
平成27年1月1日から平成33年(2021年)12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(新築等)の対価に充てるための住宅取得等資金を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となる。
1.受贈者の要件
(1) 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
※配偶者の父母(又は祖父母)は直系尊属には該当しないが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当する。
(2) 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。
(3) 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
(4) 平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと。
(5) 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。
(6) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
※受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできない。
(7) 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること(受贈者が一時居住者であり、かつ、贈与者が一時居住贈与者又は非居住贈与者である場合を除く)。
 なお、贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない人であっても、一定の場合には、この特例の適用を受けることができる。
(8) 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
2.家屋等の要件
(1) 新築又は取得の場合の要件
イ 新築又は取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
ロ 取得した住宅が次のいずれかに該当すること。
1) 建築後使用されたことのない住宅用の家屋
2) 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
※耐火建築物とは、登記簿に記録された家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造などのものをいいう。
3) 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの
4) 上記2)及び3)のいずれにも該当しない建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その住宅用の家屋の取得の日までに同日以後その住宅用の家屋の耐震改修を行うことにつき、一定の申請書等に基づいて都道府県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までにその耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明書等により証明がされたもの
(2) 増改築等の場合の要件
イ 増改築等後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
ロ 増改築等に係る工事が、自己が所有し、かつ居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること。
ハ 増改築等に係る工事に要した費用の額が100万円以上であること。
 また、増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に要したものであること。
3.非課税限度額

イ 下記ロ以外の場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
~平成27年12月31日 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日
~令和2年3月31日
1,200万円 700万円
令和2年4月1日
~令和3年3月31日
1,000万円 500万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 800万円 300万円

ロ 住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成31年1月1日
~令和2年3月31日
3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日
~令和3年3月31日
1,500万円 1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 1,200万円 700万円


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