《問40》「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」(相続税の取得費加算の特例。以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 相続または遺贈により取得した資産を、当該相続の開始があった日の翌日から3年を経過した日以後に譲渡した場合は、本特例の適用を受けることはできない。
- 相続または遺贈により取得した資産を、譲渡者の親族や同族会社などの特殊関係者に譲渡した場合は、本特例の適用を受けることはできない。
- 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の敷地である土地を譲渡した場合に、「被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得の特別控除」の適用を受けるときは、本特例の適用を受けることはできない。
- 相続または遺贈により取得した土地を譲渡した場合に、譲渡所得の金額の計算上、収入金額の5%相当額を当該土地の取得費とするときは、本特例の適用を受けることはできない。
[正解] 3 (適切)
- 相続または遺贈により取得した資産を、当該相続の開始があった日の翌日から3年を経過した日以後に譲渡した場合は、本特例の適用を受けることはできない。
- 相続または遺贈により取得した資産を、譲渡者の親族や同族会社などの特殊関係者に譲渡した場合は、本特例の適用を受けることはできない。
- 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の敷地である土地を譲渡した場合に、「被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得の特別控除」の適用を受けるときは、本特例の適用を受けることはできない。
- 相続または遺贈により取得した土地を譲渡した場合に、譲渡所得の金額の計算上、収入金額の5%相当額を当該土地の取得費とするときは、本特例の適用を受けることはできない。
[解説]
相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していることが要件の一つである。つまり、相続開始から3年10ヶ月以内に相続財産を売却していなければならない。
[解説]
第三者だけでなく、親族や自分の会社に売却しても、この特例を適用できる。
[解説]
「相続税の取得費加算の特例」と「被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得の特別控除」は選択適用となる。
[解説]
譲渡所得の金額の計算では、実際の取得費か概算取得費(収入金額の5%)を選択することができる。本特例は、このどちらの取得費を選んだとしても、適用することができる。
<相続税の取得費加算の特例>
この特例は、相続により取得した土地、建物、株式などを、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる。
1.要件
(1) 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
(2) その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
(3) その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。
2.取得費に加算する相続税額
平成27年1月1日以後の相続又は遺贈により取得した財産を譲渡した場合の算式は、次のとおりである。なお、譲渡した財産ごとに計算する。
(算式)
取得費に加算する相続税額
\begin{align*}
=相続税額✕\frac{相続税の課税か悪の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額}{相続税の課税価格+債務控除額}\\
\end{align*}