1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問34】不動産の仮登記

《問34》不動産の仮登記に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 所有権移転の仮登記は、実体上の所有権移転が既に生じている場合には、申請することができない。
  2. 仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるときは、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。
  3. 抵当権設定の仮登記に基づく本登記は、その本登記について登記上の利害関係を有する第三者がある場合、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
  4. 売買予約を原因とした所有権移転請求権の仮登記は、本登記をしないまま5年が経過すると、時効により消滅する。


[正解]  (適切)

  1. 所有権移転の仮登記は、実体上の所有権移転が既に生じている場合には、申請することができない
  2. [解説]
    仮登記には、「実体法上の権利変動が生じているものの、申請に必要な添付情報を提供できない場合」(1号仮登記)と「実体法上の権利変動は生じていないが、その権利変動に関する請求権を有している場合」(2号仮登記)の2種類ある。不動産売買時には登記済証(又は登記識別情報)が必要である。実体上の所有権移転が既に生じているが、売主がこの書類を見つけることができず準備する前での間に順位を保全する場合に仮登記をすることができる。1号仮登記に該当する。

  3. 仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるときは、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。
  4. [解説]
    「権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない」とされている。ただ、仮登記について、共同申請の原則は大幅に緩和されており、仮登記の登記義務者の承諾があるとき又は仮登記を命ずる処分があるときの、登記権利者から申請する仮登記仮登記の変更登記・更正登記は単独申請が認められている。

  5. 抵当権設定の仮登記に基づく本登記は、その本登記について登記上の利害関係を有する第三者がある場合、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
  6. [解説]
    不動産登記法第109条では、所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、この者の承諾がある場合に限って認められる、また2項で、登記官は、前項の規定による申請に基づいて登記をするときは、職権で、同項の第三者の権利に関する登記を抹消しなければならない、とされている。
    また、仮登記をすることで、仮登記権利者は利害関係を有する第三者に承諾を求める権利を有し、第三者は承諾義務を負う。承諾に応じない場合は裁判に訴えることになり、判決があれば、本登記の申請をすることができる。
    たとえば、AとBで仮登記がなされた状態で、AとCで当該不動産についての本登記があったとする。ABで本登記がされた場合に影響があるCは登記上の利害関係を有する第三者となる。この場合、Cの承諾か判決があれば、本登記をすることができる。さらに、この場合、登記官が職権でCの本登記を抹消することになる。
    一方、抵当権設定の仮登記に基づく本登記の場合について考える。AとBで抵当権設定の仮登記がなされた状態で、AとCで当該不動産についてのと本登記があったとする。Aが当該不動産を担保にお金を借り、その不動産をCに売却した取引である。抵当権付きの不動産を売却することは問題なく、所有権とは異なり、第三者であるCの承諾なしに、抵当権設定の仮登記に基づく本登記の申請をすることができる(Cは抵当権設定の本登記があっても直ちに所有権を失うわけではない)。もちろん、実務上は抵当権が付いていないことを確認してから売買契約を締結する必要がある。

  7. 売買予約を原因とした所有権移転請求権の仮登記は、本登記をしないまま5年が経過すると、時効により消滅する。
  8. [解説]
    売買予約とは、売買契約を結んですぐに所有権が移転するのではなく、将来、当該不動産を取得できる権利を得ることで、この権利を予約完結権という。売買予約を原因として所有権移転請求権を仮登記できるが、予約完結権は売買契約から10年を経過すると消滅時効にかかるため、所有権移転請求権も時効により消滅する。


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