1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問25】退職所得

《問25》 居住者に係る所得税の退職所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 国家公務員または地方公務員が勤続年数5年以下で退職して受け取った退職手当は、当該職員の役職にかかわらず、特定役員退職手当等として退職所得の金額を計算することになる。
  2. 被保険者を役員とする法人契約の終身保険を、当該役員の退職にあたり、契約者を役員に変更して退職金として支給した場合、その支給時において当該契約を解除した場合に支払われることとなる解約返戻金等の額が退職所得の収入金額となる。
  3. 確定拠出年金の老齢給付金を一時金として一括で受け取った場合、老齢給付金の金額から納税者が拠出した確定拠出年金の掛金の総額を差し引いた額が退職所得の収入金額となる。
  4. 給与所得、上場株式等に係る譲渡所得および退職所得を有する者は、確定申告を行うことにより、総所得金額および譲渡所得の金額から控除しきれない所得控除額を退職所得の金額から控除することができる。


[正解]  (不適切)

  1. 国家公務員または地方公務員が勤続年数5年以下で退職して受け取った退職手当は、当該職員の役職にかかわらず、特定役員退職手当等として退職所得の金額を計算することになる。
  2. [解説]
    退職所得の金額は、その年中に支払を受ける退職手当等の収入金額から、その者の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされているが、役員等としての勤続年数(役員等勤続年数)が5年以下の者(特定役員等)が、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるもの(特定役員退職手当等)については、この残額の2分の1とする措置はない
    この役員等には、
    (1) 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人や法人の経営に従事している者で一定の者
    (2) 国会議員や地方公共団体の議会の議員
    (3) 国家公務員や地方公務員
    が該当する。

  3. 被保険者を役員とする法人契約の終身保険を、当該役員の退職にあたり、契約者を役員に変更して退職金として支給した場合、その支給時において当該契約を解除した場合に支払われることとなる解約返戻金等の額が退職所得の収入金額となる。
  4. [解説]
    法人契約である終身保険を法人から役員(個人)に譲渡するため、その価額は時価となり、保険契約であることから解約返戻金相当額となる(法人が支払った保険料総額ではない)。また、退職所得として保険契約を支給しているため、解約返戻金額が退職所得となる。「当該契約を解除した場合に支払われることとなる」とあることから、この時点では解約していない。なお、この後、この保険を解約すると一時所得の対象となる。

  5. 確定拠出年金の老齢給付金を一時金として一括で受け取った場合、老齢給付金の金額から納税者が拠出した確定拠出年金の掛金の総額を差し引いた額が退職所得の収入金額となる。
  6. [解説]
    「納税者が拠出した確定拠出年金の掛金の総額を差し引く」とは、掛金を生命保険の保険料のように差し引くことを意味するが、確定拠出年金の掛金は全額所得控除しており、退職所得でh勤務年数に応じた退職所得等控除があるため、保険料や経費のように差し引くことはできない

  7. 給与所得上場株式等に係る譲渡所得および退職所得を有する者は、確定申告を行うことにより、総所得金額および譲渡所得の金額から控除しきれない所得控除額を退職所得の金額から控除することができる。
  8. [解説]
    所得控除にいて控除する順序は、①総所得金額、②譲渡所得の金額や上場株式等に係る譲渡所得等の金額等、③山林所得金額、④退職所得金額の順に控除する。最初の総所得金額と最後の山林所得・退職所得をおさえておくこと。なお、所得控除では、雑損控除を他の諸控除と区分して最初に所得金額から差し引き、次にその他の控除を同順位に行う。

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