1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問13】自賠責保険

《問13》自動車損害賠償責任保険(以下、「自賠責保険」という)および政府の自動車損害賠償保障事業(以下、「政府保障事業」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 複数台の自動車による事故において、共同不法行為により身体に損害を被った場合、自賠責保険により支払われる保険金等は、加害者の有効な自賠責保険契約に係る保険金額を合算した額が限度となる。
  2. 自賠責保険では、被害者の過失割合が7割以上10割未満である場合、重過失減額制度により、原則として、自賠責保険により支払われるべき保険金等が被害者の過失割合に応じて減額される。
  3. 政府保障事業による損害のてん補は、自賠責保険の支払基準に準じて支払われるが、被害者が健康保険や労働者災害補償保険などの社会保険からの給付を受けることができる場合には、その金額が差し引かれててん補される。
  4. 政府保障事業では、被害者は、損害賠償額が確定する前であっても、治療費などの当座の費用として仮渡金の支払を請求することができる。


[正解]  (不適切)

  1. 複数台の自動車による事故において、共同不法行為により身体に損害を被った場合自賠責保険により支払われる保険金等は、加害者の有効な自賠責保険契約に係る保険金額を合算した額が限度となる。
  2. [解説]
    共同不法行為は、民法719条で「数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする」と規定されており、被害者は加害者の一方の全額の損害賠償を請求することができる。たとえば、自動車AとBによる事故で被害を被ったCは、AとBの過失割合に関わらず、支払能力のある一方にだけ全額の損害賠償を請求することができる、という意味である。
    自賠責保険は、被害者救済の位置づけが強いこともあり、たとえば後遺障害第14級(75万円)に該当すると、AとBそれぞれから75万円となり、支払限度額は150万円となる。ただ必ず2倍の金額を受けられるわけではなく、あくまでも支払金額の枠が2倍になるだけである。

  3. 自賠責保険では、被害者の過失割合が7割以上10割未満である場合、重過失減額制度により、原則として、自賠責保険により支払われるべき保険金等が被害者の過失割合に応じて減額される。
  4. [解説]
    自賠責保険には原則、任意保険のような過失割合による減額はなく、被害者に過失があっても全額支払われる。しかし、被害者に重大な過失があり、過失割合が7割以上(10割未満)の場合、支払限度額が減額される。これを重過失減額制度という。後遺障害や死亡の場合、7割以上8割未満の過失は2割減、8割以上9割未満は3割減、9割以上は5割減となり、傷害や死亡に至るまでの傷害の場合、7割以上10割未満で2割減となる。

  5. 政府保障事業による損害のてん補は、自賠責保険の支払基準に準じて支払われるが、被害者が健康保険や労働者災害補償保険などの社会保険からの給付を受けることができる場合には、その金額が差し引かれててん補される。
  6. [解説]
    政府保障事業による損害のてん補は、ひき逃げや無保険事故の被害者を救済するための給付である。政府保障事業による損害のてん補の場合、健康保険や労災などの社会保険から給付を受けるべき場合、その金額が差し引かれて補てんされる。政府(国土交通省)が加害者に代わって被害者に補てんするため、政府が加害者に求償する。なお、自賠責では加害者請求ができるが、政府保障事業による損害のてん補を利用するためには被害者が請求しなければならない。

  7. 政府保障事業では、被害者は、損害賠償額が確定する前であっても、治療費などの当座の費用として仮渡金の支払を請求することができる
  8. [解説]
    原則、損害賠償額が確定した後に保険金を請求するが、損賠賠償責任についてまとまらない場合、被害者は保険金をなかなか受け取ることができなくなる。そこで自賠責保険では、仮渡金として治療費等の当座の費用が必要な場合に仮払いを受けられる制度である。しかし、仮渡金は自賠責保険にはあるが、政府保障事業にはない

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