1級FP過去問解説(基礎)2019年1月【問12】払済終身保険への変更時の経理処理

《問12》X株式会社(以下、「X社」という)は、代表取締役社長であるAさんを被保険者とする下記の逓増定期保険を払済終身保険に変更した。払済終身保険への変更時の経理処理として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、X社は、変更前に年払保険料を10年分(総額3,600万円)払い込んでいる。

保険の種類 :無配当逓増定期保険(特約付加なし)
契約年月日 :平成20年10月1日
契約者(=保険料負担者):X社
被保険者 :Aさん(加入時における被保険者の年齢50歳)
死亡保険金受取人 :X社
保険期間・保険料払込期間:72歳満了
年払保険料 :360万円
解約返戻金額 :3,000万円



[正解]  (適切)

[解説]
逓増定期保険の経理処理は、保険期間満了時の被保険者の年齢と契約年数によって経理処理の方法が異なる。長期平準定期保険の経理処理と似ており、保険期間の前半の6割と後半の4割に分けるが、前半の6割で支払保険料として損金算入できる割合が、全額、1/2、1/3、1/4と4パータンある。また、Aさんの加入時年齢は50歳で、保険期間は72歳満了なので、すでに10年支払済みだあることから、「前半の6割」時期だと判断できる。本肢を見ると、3,600万円の1/2(1,800万円)か2/3(2,400万円)しかないため、どのパターンになるかの計算式までは問われていない(本来なら計算でどのパターンになるか判定する)。2分の1を支払保険料として損金算入すると、残りの2分の1は前払保険料として資産計上する(後半4割で均等に振り分ける)。
<(参考)これまでの経理処理(1年間)>
支払保険料(損金) 180万円 | 現金預金 360万円
前払保険料(資産) 180万円 |
<(参考)これまでの経理処理(10年間)>
支払保険料(損金) 1,800万円 | 現金預金 3,600万円
前払保険料(資産) 1,800万円 |
払済終身保険に変更する前の10年間は、上記のような経理処理を毎年しているはずである。
次に、逓増定期保険を払済保険に変更した場合の経理処理であるが、
「法人が既に加入している生命保険をいわゆる払済保険に変更した場合には、原則として、その変更時における解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険料の額との差額を、その変更した日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する」(法人税基本通達9-3-7(2))としている。
解約返戻金相当額とその保険契約により資産に計上している保険料の額との差額は、「3,000万円(解約返戻金額)-1,800万円(前払保険料)=1,200万円(益金・雑収入)」となる。
<これまでの経理処理(払済保険変更時)>
保険積立金 3,000万円 | 前払保険料 1,800万円
            | 雑収入    1,200万円
※ちなみに、解約返戻金額が少なければ次のような経理処理になる。
<(参考)解約返戻金額が少ない場合の経理処理(払済保険変更時)>
保険積立金 1,000万円 | 前払保険料 1,800万円
雑損失    800万円 |
上記の経理処理では、これまで資産計上してきた前払保険料を貸方に計上して相殺し、雑収入と合計した額を、保険積立金として資産計上している。
ただ本問の場合、選択肢から「前半の6割で支払保険料として損金算入できる割合は1/2(1,800万円)」しかなく、また払済終身保険の変更は現金で受け取るわけではない(解約ではない)ため、「現金預金 3,000万円」は誤りであることに気づけば正解できる。

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